最新記事
YouTube

BTSやテイラー・スウィフトよりも総再生回数が多い、キルギス版YouTuber「Dビリオンズ」って何者?

Kyrgyz Soft Power

2023年7月2日(日)11時30分
コリーン・ウッド(ライター)
Dビリオンズ, D Billions

Dビリオンズの勢いに熱い視線が集まる。(左から)チャチャ、リャ・リャ、ブーム・ブーム、チッキー D BILLIONS/YOUTUBE

<子供向けコンテンツながらチャンネル登録者4500万人、祖国の文化をアピールする中央アジアの「新しいソフトパワー」に政府も注目?>

キルギスの音楽グループ「Dビリオンズ」が5月末にYouTubeに投稿した8本の動画は、約1週間で300万回近い再生回数を記録した。コンテンツは子供向けが中心。

「ググ・ガガ(ベイビー・モンキーズ・ストーリーズ)」「ズーム・ズーム・ズーム・ビノキュラーズ」といったタイトルの動画はアート性が高いとは言えないかもしれないが、キルギスのソフトパワーの潜在力を物語る。

2019年8月に最初の動画「レフト! ライト!」を投稿したDビリオンズは、瞬く間に成功を収めた。

21年9月にはキルギスのYouTubeチャンネルとして初めて、登録者数1000万人を突破した証しである「ダイヤモンド再生ボタン」を獲得。今やBTSやテイラー・スウィフトより多い約316億回の総再生回数を誇る。

色鮮やかなウィッグをかぶったメンバーは4人。パーマヘアの男性3人、チッキー、チャチャ、ブーム・ブームと、ピンクのロングヘアの女性、リャ・リャだ。

コンセプトを考えたエルネスト・ウメタリーブは、16年にアルマズベク・アタムバエフ大統領(当時)のラブソングのアルバムでサウンドエンジニアリングを担当するなど、音楽界でのキャリアが長い。

4人のメンバーも、キルギスの音楽とダンスの世界では名の知れたアーティストだ。

アスコ・アナルクロフ(チャチャ)とジャニーベック・「ジョニー」・ジェニシュベコフ(ブーム・ブーム)は、ウメタリーブのレコードレーベルで作品を手がけている。

忘れられたキルギス語

実績のあるアーティストが奇抜な子供向けコンテンツに興じるのは、妙に思えるかもしれない。

しかし、DビリオンズのPR担当マネジャーで自身も有名な歌手のチョルパンエイ・ケンジェクロバは4月にラジオのインタビューで、メンバーは「これらの役をどう演じればいいか、すぐに理解した」と語っている。

YouTubeの英語版チャンネルは、Dビリオンズにとって最大のヒットだ。グループで15のチャンネルを開設しており、登録者は総計4500万人。

ロシア語、アラビア語、インドネシア語、スペイン語、日本語、韓国語、そして最新のものはキルギス語など、さまざまな言語で展開している。

キルギス語のチャンネルを新たに加えても収益が増えることはないだろうと、ウメタリーブは考えていた。

しかしDビリオンズのチームにとっては、キルギス語で曲を書いて演奏することが重要だった。

自動車
DEFENDERの日本縦断旅がついに最終章! 本土最南端へ──歴史と絶景が織りなす5日間
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 10
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中