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元ジャニーズJr.の橋田康が、「母校のよう」なジャニーズ事務所に伝えたいこと

2023年6月13日(火)17時53分
デービッド・マクニール(ジャーナリスト、聖心女子大学教授)、大橋希(本誌記者)

――あるテレビのプロデューサーは「ジャニーさんも亡くなっているから、こういう問題を掘り出すのは意味ないよ」と言っていた。そうした発言をどう思うか?

僕自身、個人的にジャニーさんのことは今でも大好きですが、性的な経験に関しては目をそむけて、なかったことにしたいと思って生きてきた。その部分を抜かして考えれば彼はすごく素敵な人間で、尊敬している。亡くなってから、いま悪く言われるのは僕にとっては苦しいことです。

僕はエンターテイメントの業界が大好きで、そう思わせてくれたのはジャニーズ事務所だし、ジャニーさん。そこは本当に大きい。だからこそ同じようなことが繰り返されないために、(業界で)先頭を走ってきたジャニーズ事務所にはこの問題に徹底して向き合ってほしい。

――大手マスコミが報道してこなかったことをどう思う?

本当に大きな力、忖度がいっぱい働いた結果だと思う。今まで報道せず、向き合わずにごめんなさいといろいろなメディアの方や記者の方から言われるが、そう思ってくれるなら、今から変えていきましょう、こういうことが繰り返されないように、誰かがつらい思いをしないような環境を作っていけるよう一緒にがんばりましょうという気持ちですね。

――事務所を訴えるつもりはない?

13歳でそういうことが起きた場合、告訴などができる期間は33歳まで。僕の場合はもう時効で戦う権利がない。そのことを知ったとき、だからこそ僕は損得関係なく、状況を変えるために立ち上がったと分かってもらえるし、意見を聞いてもらえるかもしれないと思った。

――親に告白できたのはいつ頃か?

ジャニーズ事務所を退所するあたりのタイミングだったと記憶している。すごく愛情深く応援してくれた家庭だったので、僕がやめることに関しては「もったいないよ」っていう気持ちもあったと思うので、それを説得する要素の一つとして伝えた。

その時に親は「本当に苦しかったね」って泣いてくれたんですけど、それ以上のことは言わなかった。僕にはそれがすごく救いでしたね。そこで「訴えよう」とか、「なんでもっと早く言わなかったんだ」と怒られたら、きっと苦しかったと思う。そういう風に対応してくれたことは今も感謝している。

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