なぜ人は足に萌えるのか? 「足フェチは服従的な性格と関係がある」という仮説
過去には、中国やペルシャなどのいくつかの文化で、足を縛ることで物理的に小さくする纏足の習慣があった。
テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』のキャリー・ブラッドショーを見ればわかるが、女性もけっこう、自分の足を見てエロチックな気分になるようだ。そのことは、女性も自分の足が男性の性的興味の対象になっていることに、(たとえ本人が意識していなくても)気づいていることを示している。
足への性嗜好が文化に根ざしたものという説に対しては、もうひとつ疑問がある。なぜ「手」じゃなくて、「足」なのだろうか? どの文化でも、足よりは手のほうが目に触れる機会が多いし、手と足は、大まかな形は似ている。女性はよく、キラキラのマニキュアで爪を化粧するから、人の目を惹きやすい。
オンラインポルノでは、女性の手は、セックスに積極的に関与するものとして描かれることが多い。手でいかせるのはあっても、足でいかせるのなんてない。つまり、手は非常に目に触れることが多く、化粧をほどこされ、セックスの道具にもなっている。
それなのに、ドッグパイルの性的検索ワーズのなかでは、足に関するものは9万3885ワーズもあるのに、手に関するものは5831ワーズしかない。アレクサ・アダルトリストでも、足専門のサイトは276もあるのに、手専門とみなせるサイトは「Glove Mansion」だけだった。
では、男が先天的に足に反応するのなら、足フェチは服従的な性格と関係があるというフロイトの説はまちがっているのだろうか? たぶん、まちがいではない。
AOLの検索履歴データを調べると、「足」の性的検索はボンデージ(拘束プレイ)や服従プレイの検索と関連性があることがわかった。また、足専門サイトのウェブマスターたちは、服従プレイ専門サイトにリンクを貼っていることが多い。
足関連の典型的なポルノは、男が支配的な女性に踏みつけられたり、女性の足を舐めさせられているものだ。単に足が好きだからこうした服従ものを好むようになるのか、それとも服従ものが好きだから足フェチになるのか、あるいは、このふたつが何か別の要因によって結びついているのかは、はっきりしない。
女性の靴やパンティーストッキング、靴下の検索も、「足」の性的検索との関連性が強い。「Pretty High Heels」、「Cute Pantyhose」、「Teens' Pantyhose」など、女性が履くものへの性嗜好に応えるウェブサイトや、意見が書き込めるオンラインフォーラムもたくさんある。人気ラッパーのリュダクリスはこう語っている。
「オレは、足のきれいな女の子にはイチコロなんだよ。ブーツを履いていて、足の見えない子にだまされることもあるよ。でもさ、オレは足を見たら、もう終わりなんだよ」男が「乳房」や「お尻」、「足」を好きなことはよく知られているし、証拠もたくさんある。
男が「乳房」や「お尻」、「足」を好きなことはよく知られているし、証拠もたくさんある。しかし、体の部位ではあるが、意外に思う人もいるだろう。
『性欲の科学──なぜ男は「素人」に興奮し、女は「男同士」に萌えるのか』
オギ・オーガス、サイ・ガダム[著]
坂東智子[翻訳]
CCCメディアハウス[刊]
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