都心に現存する奇跡の建築、東京都庭園美術館の美
贅を尽くした装飾の数々
おもに来客をもてなすための1階には、設計者のアンリ・ラパンをはじめ、ルネ・ラリックやマックス・アングラン、レイモン・シュブといった当時のフランスを代表する芸術家やデザイナーによる装飾が随所にある。また、宮内省内匠寮の技師による緻密な寄せ木張りやモザイクタイルの床、大理石製の荘厳な階段なども圧巻。フランスと日本、両国の芸術家、職人、技師が腕を振るった装飾が現代の人々をも魅了する。
往時の華やかさを伝える試み
建物公開展では、応接セットや大食堂のテーブルセットなど、往時の雰囲気を再現した展示が行われ、優雅な暮らしぶりを伝えている。さらに通常の企画展開催時は展示品保護のため閉じられているカーテンが開放されている点も特筆される。館内に入る光を感じ、窓から庭園を眺めながら室内を歩くと、よりいっそう空間の魅力を味わえるだろう。また書斎に併設された書庫など、普段はあまり足を踏み入れることのできない部屋の特別公開も行われている。