「4000冊の蔵書が一瞬で吹っ飛んだ」 電子書籍の落とし穴 ── あなたは購入していない
しかし、これらの補償が万全とは言えません。アプリにダウンロードして電子書籍が引き続き読めるとしても、そのアプリの更新は止まってしまうので、OSバージョンアップなどで将来的にはアプリ自体が起動できなくなることがあるからです。
電子書籍をPDFに変換して保存するのはAmazonの規約違反
対策はあるのでしょうか。一つ考えられるのは、電子書籍のPDF保存です。PDFにすれば今後も読める形式で保存できるからです。
ただし残念ながらPDF変換・保存はAmazonの規約違反です。Kindleストアの利用規約には「デジタル権利管理システムまたはその他のコンテンツの保護もしくは機能を迂回、修正、無効化、回避してはならないものとします」と書かれており、違反した場合はユーザー側の権利は自動的に解除されるとしています。
PDF保存することは、KindleにかけられているDRM(デジタル著作権管理)を解除することになるため規約違反となり、アカウント停止によってKindleの蔵書は一切利用できなくなるのです。
つまりKindleを別の形で保存することはできないため、唯一の対策は「Amazonの規約をきっちり守る」しかない、ということになります。
紙の本で買えばこのリスクはありません。しかし私たちは利便性を求めてKindleを使っているわけで、いまさら紙の本を部屋に積むことなど考えられないという人が多いでしょう。また水害や火事などで、紙の本にも失うリスクはあります。「電子書籍はリスクがあるからすべて紙の本にする」というわけにはいきません。
Amazonギフト券の入手元によってはアカウント停止も
冒頭の匿名記事では、Amazonのアカウントが停止された理由は「Amazonギフト券をほかから安く買って定期的に使用していた」ことにあるようです。
ギフト券について、Amazonでは注意喚起を出しています。
この注意喚起では転売サイトを名指しで列記しており、Amazonは「転売もしくは不正に取得された可能性のあるAmazonギフト券の凍結・無効化」「関連するアカウントの停止」を行っているとしています。つまりここに書かれた転売サイトでAmazonギフト券を購入して使った場合、Amazonアカウントが停止されてしまう=Kindle蔵書が消失する恐れがあるのです。
私たちはAmazonギフト券をそれ自体で価値があり、どこから入手しようがAmazonで使えるものと思いがちです。しかしそれは間違いであり「入手元がクリーンである」必要があるのです。納得しにくい話ではありますが、現状のAmazon規約がこうなっている以上、従わざるを得ません。