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韓国ドラマ

『愛の不時着』の魅力を元CIA工作員が読み解く...世界的な変化を見事に捉えた普遍的な物語

GLOBAL CRASH LANDING

2021年4月28日(水)19時18分
グレン・カール(元CIA工作員、本誌コラムニスト)

アメリカの娯楽産業が圧倒的な影響力を持ち、韓国のテレビは韓国、フランスのテレビはフランス、日本のテレビは日本にとどまっていた時代は終わった。

ネットフリックスは韓国映画だけでも、年間5億5000万ドル以上を投資している。私はこの1カ月だけでドイツ、フランス、スウェーデン、イギリス、中国、カナダ、アメリカ、韓国の優れた作品をリモコン1つで楽しんだ。

だがグローバリゼーションがもたらす国際感覚豊かな多様性を歓迎し、『愛の不時着』のような海外のドラマに胸躍らせる人間ばかりかといえば、そうではない。ビンラディンや議事堂を襲った暴徒のようなやからはグローバリゼーションによる文化の混乱を嫌う。異質な文化を排除し、そうしたものが入ってこないように文字どおり壁を築こうとする。

彼らにとって北朝鮮のリ・ジョンヒョク大尉は厄介者でしかない。韓国人でさえ北の同胞を疎んじ、70年にわたって彼らを陰気で個性のない人々として表現してきたのだ。北朝鮮の人々を好意的に描写した点でも、このドラマは特筆に値する。

文化の流入に眉をひそめるやからへの答えは、セリに聞こう。後半のある場面で、セリはこう語る。「風はなぜ吹くと思う? 前に進むため......あなたと出会うためよ」

今は神話や物語や宝物が地球上のあらゆる場所から風に乗り、私たちの元に届く時代。その風を遮れる壁など、ありはしない。

(※韓国を飛び出し、世界で支持を広げ続ける「進撃の韓流」――本誌5月4日/11日号「韓国ドラマ&映画50」特集より。本誌では、さまざまなジャンルの注目ドラマ20作品を取り上げています)

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