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アカデミー賞アカデミー主演女優賞候補シンシア・エリヴォが語る、映画『ハリエット』のメッセージ
When Araminta Became Harriet

エリボが演じた黒人女 性運動家はアメリカ史 を切り開く存在だった ILLUSTRATION BY BRITT SPENCER
<インタビュー:映画『ハリエット』で19世紀の奴隷・女性解放運動家を演じ、アカデミー賞の主演女優賞・歌曲賞にノミネートされたシンシア・エリヴォが語る作品に込められたメッセージ>
来月発表の第92回アカデミー賞で主演女優賞と歌曲賞にノミネートされた、女優で歌手のシンシア・エリヴォ。
トニー賞もエミー賞もグラミー賞も手にしたエリヴォが今回、オスカー候補となったのは、19世紀の奴隷・女性解放運動家ハリエット・タブマンの伝記映画『ハリエット』(日本公開予定は3月)でのパフォーマンスだ。今年のゴールデングローブ賞でも主演女優賞と主題歌賞の2部門でノミネートされていた(受賞は逃した)。
黒人奴隷の逃亡を支援した秘密組織「地下鉄道」の指導者の1人であるタブマンには、ミステリアスな印象も付きまとう。そんな彼女の人生に、エリヴォは新たな光を当てた。タブマンの出生時の名はアラミンタ・ロスだった。自由を手にした後に母親の名を受け継ぎ、ハリエットと名乗る。
エリヴォは有名ではなかった時期のタブマンのことをもっと知ってほしいと考えている。H・アラン・スコットが話を聞いた。
――ハリエット・タブマンの生まれたときの名を知ることが、なぜ重要だと思う?
「アラミンタ・ロス」を知ることで、彼女という人間の成長をたどることができる。アラミンタがある日突然、ハリエットになったわけではない。
――タブマンの人生が語られるとき、南北戦争に従軍したことと、女性参政権運動への貢献が往々にしてこぼれ落ちてしまう。これらの部分はなぜ重要なのか。
彼女が軍にいたことや、女性参政権運動に参加していたことを知る人は少ない。初めて武装襲撃を行った黒人女性の1人であり、指揮官だったなんて最高にエキサイティング。長く語り継がれるべき人生の物語がそこにある。
――作品中の音楽は演技に影響を与えた?
もちろん。音楽は魂につながる。黒人霊歌はメッセージを伝え合う方法だった。
――タブマンの物語からくみ取ってほしいメッセージは?
タブマンのように行動力があり、素晴らしい心を持つ女性が自らの物語を紡ぐ姿を見て、若い人たちに勇気と自信を持ってほしい。女性には何でもできるという例が彼女だから。この映画は、私たちの持つ強さを見つめ直すきっかけにするべきだと思う。
<本誌2020年1月21日号掲載>

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