注目ホラー『ミッドソマー』の監督が自作を語らない理由
Why He Hates Talking About His Movies
──この作品には、時に男性の振る舞いに対する強い怒りが感じられる気がするが。
『ミッドソマー』の脚本を書いていたとき、私は特に(主人公の女性)ダニに自分を重ねていた。だからダニの中には、たくさんの私がいる。
全ての登場人物の中に、私の一部がいるだろう。けれども、見る人が特にダニの視点を持つように仕向けていると思う。観客は完全にダニの味方になり、彼女の視点から物事を見る。そして物語が終わる頃には、全てがそんなに簡単に割り切れるものじゃないと感じてもらえればいいと思う。
──あなたはいつも自分の作品を、とても個人的なものだと言う。あなたの作品は今のところ『ヘレディタリー』と『ミッドソマー』の2作だから、それらが「個人的」だと聞くと、あなたのことが少し心配になる。まだ30代前半なのに、どれほどつらい経験をしたのだろう、と。
実にひどい経験をしたし、家族にもさまざまなつらいことが起きた。でも、人生とは苦しみだという格言もある。私もそう思うし、人生を描くことには癒やしの効果があるだろう。たとえ大きな痛みを伴う物語でも、それを語ることで精神の浄化を見いだせる部分があると思う。
私には今も、ひねくれた子供みたいな部分があって、周りをあきれさせるのがとても楽しい。それをできるだけ優雅にやりたいという思いもある。そこから作品が生まれるんだ。
<本誌2019年07月30日号掲載>
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