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イスラム教ムハンマド伝記映画が許される不思議
描いてはいけないはずのムハンマドの映画をイランが気にしない理由
解釈は様々 ムハンマドを描くことに寛容な国も(写真はイラン) Raheb Homavandi-REUTERS
イスラム教で偶像崇拝は厳禁。1月にフランスの風刺週刊紙シャルリ・エブドが襲撃されたのも、同紙が預言者ムハンマドの風刺画を掲載したからだ──そう考えている人は少なくない。
だが神権政治(統治者が神の代理人として絶対権力を有する政治形態)を実践するイランで、ムハンマドの幼少期を描いた映画『預言者ムハンマド』が公開されようとしている。それも最高指導者ハメネイ師自らが撮影現場を訪れたという「お上公認映画」だ。
どうやらイスラム教シーア派の国イランは、ムハンマドの描写について寛容らしい。一方、エジプトのスンニ派教育機関は、映画を上映禁止処分にするようイラン政府に呼び掛けている。
ところが同じスンニ派の国でもカタールでは、ムハンマドの伝記映画製作が進んでいる。しかもこちらはハリウッド映画『ロード・オブ・ザ・リング』の製作者を迎えて、世界公開を目指す10億ドルプロジェクトだ。
さすがにムハンマドの姿は登場しないとみられるが、同じイスラム教国でもムハンマドの扱いはこれほど違う。
[2015年4月 7日号掲載]