最新記事

ハリウッド

この夏はクーガー女が熱い

2009年8月5日(水)15時05分
ラミン・セトゥデ(エンターテインメント担当)

若手のスターが足りない裏事情も

『マイ・ライフ・イン・ルインズ』に主演するバルダロスは、撮影開始の前日まで共演者との年齢差に気付かなかったという。「もう笑っちゃった」と、彼女は言う。「この間、娘の洗礼式があったんだけど、こっちじゃ水を使うのね。私たちギリシャ系の女は、洗礼式でオリーブオイルに漬かるの。だから老けないのよ」

 クーガー女がもてはやされる背景には、もう少し微妙な事情もありそうだ。最近のハリウッドは、若手のスター不足に悩んでいる。特殊効果と芸能ゴシップサイトが、誰彼構わず一夜でスターに祭り上げるせいもあって、しっかり主役を張れる20代の女優がなかなか出てこない。

 そこへいくと、ブロックのようなベテラン女優は今も観客動員を計算できる。『あなたは私の婿になる』は6月に全米公開されると、すぐさま興行収入1位になった。

 しかし、ここで疑問が浮かんでくる。女性たちは本当にクーガー女に憧れているのだろうか。

 08年は女性と映画にとって記念すべき年だった。映画版『セックス・アンド・ザ・シティ』が、女性をターゲットにした作品としては史上最高の興行収入を記録。『トワイライト~初恋~』は、女性監督の作品としては史上最高のヒットになった。それなのにハリウッドは、女性向けの映画作りがまだ分かっていないようだ。

『クーガータウン』の予告編を見ると、コートニー・コックスがセックスに飢えたバツイチ女性を演じている。この設定では、スタートしても打ち切りは時間の問題だろう。現実の40代女性は仕事や子育てに忙しく、若い男を追い掛ける時間などありはしない。

 クーガー女は、メディアがつくり出した一過性のブームでしかないのかもしれない。クーガー女の代表格といえば『セックス・アンド・ザ・シティ』のサマンサだが、彼女も年下の恋人スミスとは破局した。『デスパレートな妻たち』のガブリエルも、高校生との不倫にピリオドを打った。

 今はパワー全開のクーガー女たちも、きっと来年の夏には絶滅しているのだろう。

[2009年7月15日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中