最新記事

健康

痛みやこり、体の不調で整骨院に来る人の共通点は、体の「前面」しか使えていないこと

2022年6月24日(金)17時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

undomiman202206-2-2.png

イラスト:中村知史 『運動未満で体はととのう』85ページより

コツコツとまちがった動きを積み重ねてきた体は、「よく使う部位」と「あまり使わない部位」に分かれていきます。その結果、本来使うべき筋肉が使われなくなり、ほかの筋肉がそれを補ってなんとか体を動かそうとします。それを「代償動作」と呼びます。本来使うべきインナーマッスルが弱いと背中をまっすぐにするのがつらいので、前かがみになったり、寄りかかったりするのも代償動作のひとつです。特に前かがみの姿勢は、おなかの表面にある腹直筋を使うことになるため、鍛えてないのに緊張でこり固まっています。するとおなかが縮み、骨盤のゆがみが生じて不調を招きます。

また、かわりに働いている筋肉や関節がしだいにオーバーワークとなり、こりや痛みがあらわれます。肩こりや腰痛、ひざの痛みなどもその代表格で、施術に訪れるクライアントさんのほとんどが、この「代償動作」による痛みを抱えています。

そもそも人の体は左右非対称であることをご存じでしょうか? 心臓は左側にあり、肝臓は右側に配置されています。そして肺は左右で大きさが異なります。このように人間の体は左右非対称を前提にバランスを保とうとしているのですが、使い方のクセによりさらにゆがみに拍車がかかってしまうのです。右重心になりがちなのは体の構造上しかたがないのですが、極端な偏りが出ると、これも体の不調につながります。

ここで「体本来の動きとは?」と疑問に思われる方がいるかもしれません。私たちは生まれてから、誰に教わることもなく体を動かしてきました。「姿勢を正す」という言葉がありますが、不調を抱えるみなさんが姿勢を改善するにあたっては、「正す」というよりは、「本来の姿勢に戻す」といったほうがいいかもしれません。

undomiman202206-2-3.png

イラスト:中村知史 『運動未満で体はととのう』87ページより

実は一度、私たちは正しい体の使い方を習得しています。それが、赤ちゃんが立ち上がり、歩くようになる過程です。あおむけから寝返りを打ち、手足を使ってハイハイをし、背中や体幹を鍛え、立ち上がって歩き始める。成長過程において矢状面(しじょうめん。体を左右に分ける面。体幹)が安定し、手足が動くようになります。子どもは小さい体で重い頭を支えながら、シャキッと立っていますよね。せっかく身につけた安定性ですが、大人になるとすっかりラクな姿勢にすり替わってしまいました。

体の安定性を保つ筋力の低下により、姿勢がくずれ反り腰や猫背に

赤ちゃんが歩くまでの過程で、ハイハイから二足歩行になるとき、おなかの筋肉と背中からおしりにかけてある筋肉が急速に発達します。特に背筋は上半身のなかでも大きな筋肉です。おしりから下、下半身の筋肉も体全体のなかで占める割合が多く、重要なパーツ。しかし、前述のとおりこの背面を使えていない人が多く、前傾姿勢になりがちです。特に女性の場合はヒールが高い靴を履くことが多く、つま先立ち状態で無意識のうちに前傾姿勢になっています。家事や育児で前かがみになることも多いですよね。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

韓国GDP第3四半期速報、前期比+1.2%に加速 

ビジネス

バークシャー、KBWが「売り推奨」、バフェット氏退

ワールド

中国、海外機関投資家の市場アクセス緩和へ 証監会が

ワールド

独外相の訪中延期が波紋、関係悪化観測を両国が「火消
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 3
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下になっていた...「脳が壊れた」説に専門家の見解は?
  • 4
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    中国のレアアース輸出規制の発動控え、大慌てになっ…
  • 7
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 8
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    「死んだゴキブリの上に...」新居に引っ越してきた住…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中