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米国市場? 不動産? 金?「いま何に投資すべきか」を加谷珪一が解説

2021年12月27日(月)06時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

一方、日本は人口減少が急激に進むことに加え、AI(人工知能)や脱炭素などの次世代投資には消極的である。このままの政策が続いた場合、日本のGDPは横ばいか微増にしかならない可能性が高い。長期的に見た場合、株価というのはGDPに比例するので、日本株だけに投資をするのは危険だと筆者は考える。

投資先は分散した方がよいので、主力の投資対象は米国の優良企業とし、日本企業の優先順位は下げた方がよいだろう。中国も高い経済成長が見込めるが、市場の不透明性が高く、米国市場と同じ扱いにはできない。

米国企業、グローバルなビジネスを行っている日本企業、中国企業の順で投資先を選別するのが望ましい。

不動産や金などへの投資を検討している人もいるかもしれないが、日本は人口減少が進むので、不動産は今後、余剰となる可能性が高い。どうしても不動産に投資をしたいのであれば、都市部など利便性の高い物件に限定すべきである。

いくら価格が安くても、郊外の物件は売却できないリスクがあるので避けた方がよい。実物不動産よりも優良不動産を証券化したREIT(不動産投資信託)の方が、安定的に運用でき、かつ高い利回りが得られるだろう。

金は持っていても利子や配当を生まないので、あまりお勧めできる投資商品とは言えない。富裕層はたいてい金を保有しているが、その理由は、インフレが発生した時には金を持っているとリスクヘッジになるからである。

もしインフレを気にしているのなら、ポートフォリオの一部を金にするという選択肢はアリかもしれないが、あくまでも目的はインフレによる損失の回避である。金を主力の投資先にすることはリスクが大きいので避けた方がよいだろう。

同様に、インフレを気にしているのであれば債券も避けた方が無難だ。インフレ時に現金と債券を持っていると損失を抱えてしまうので、物価が上昇するようなら債券と現金は御法度である。

日本ではデフレが続くと信じている人が多数派だが、お金持ちはインフレを警戒していることが多い。筆者もこの先、インフレが進む可能性は高いと予想している。

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