最新記事

ファスティング

カロリー制限ダイエットが成功する確率は、約1%しかない

2021年3月17日(水)19時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ダイエット

Vadym Petrochenko-iStock.

<長い間、医師たちのアドバイスは「食べる量を減らして、運動量を増やそう」だったが、それではダイエットは成功しない。「トロント最高の医師」が代わりに推奨するのは、ファスティング(断食)だ>

どうしたら効果的に減量でき、それを長期間維持できるか。健康なダイエットの秘訣とは何か。

世界中で多くの人を悩ませるこの問題に、長い間、医師たちが述べてきた一般的なアドバイスは「食べる量を減らして、運動量を増やそう」だった。つまり、カロリー制限だ。

しかし、カロリー制限は決して有効ではないことが、数多くの科学的研究から既に証明されていると、「トロント最高の医師」とも呼ばれる医学博士のジェイソン・ファンは言う。

ファンが代わりに推奨するのは、ファスティング(断食)だ。その効果は、体重や血液検査の結果だけにとどまらないらしい。

このたび、ファンは臨床研究者のメーガン・ラモス、コンサルタントのイヴ・メイヤー(両者とも肥満に悩んできた当事者でもある)と組んで、『トロント最高の医師が教える 世界最強のファスティング』(多賀谷正子・訳、CCCメディアハウス)を出版。原書は米アマゾンで1500以上のレビューが付き、平均4.6と、読者から絶大な支持を得てベストセラーとなっている。

「読んですぐに実践できる、ファスティングの決定版」と謳う本書は、ファスティングとは何かに始まり、その準備、実践、うまく続ける秘訣までをまとめた1冊。

ここでは本書から一部を抜粋し、3回に分けて掲載。まずは、著者の3人がそれぞれ本書を出版する理由を記した「はじめに」から、ファン医師のパートを抜粋する。

◇ ◇ ◇

〈ジェイソン・ファン〉

私は腎臓専門医、つまり腎臓の疾患を診るスペシャリストだ。メディカルスクールを卒業したあとトロント大学で内科の研修をし、その後カリフォルニア大学ロサンゼルス校で専門医の研修を行った。

これまで20年間、来る日も来る日も腎臓の治療にあたり、生命の維持に不可欠なこの臓器の機能を正常にするために働いてきた。適切な薬を処方し、適切な治療や手術を勧め、腎臓結石、糖尿病、がん、炎症をはじめ、腎不全にともなう問題を抱える人たちを救うための、正しい手順を踏んできた。

だから、いま私が肥満の治療を行い、患者が薬を飲まなくてすむように、手術を受けなくてすむように、そして透析を受けなくてすむようにするための方法を説いているのは、少し不思議な気がする。いま私が自分の使命だと思っていることは、私のような腎臓専門医の仕事をなくすことなのだから。

なぜ、そんなことになったのかといえば、10年ほど前、ある厄介な問題に気づいたからだ。昔は、腎臓病を引き起こす最大の原因は高血圧で、その次が2型糖尿病だった。それが、検査で高血圧の診断が適切に行われ、血圧の薬が使われるようになると、高血圧によって引き起こされる疾患は減少し、腎臓病の主な原因は2型糖尿病になった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メキシコ当局者、中国EV現地生産に優遇策適用せず 

ワールド

WHOと専門家、コロナ禍受け「空気感染」の定義で合

ワールド

麻生自民党副総裁22日─25日米ニューヨーク訪問=

ワールド

米州のデング熱流行が「非常事態」に、1カ月で約50
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中