最新記事

BOOKS

メンタル防衛に必要なのに、職場から消えたものは「雑談」と...

2018年9月30日(日)11時35分
印南敦史(作家、書評家)

加えて、「その人が休むとほかの人には手が出しにくい」仕事が増えており、代替がきかなくなっていることも問題。そのため、体調が悪かったり、気分がすぐれなくてもなかなか休めず、やがて本格的なメンタル不調に陥ってしまうというのである。

「それほど大袈裟に考えることでもない」と感じる人もいるだろうか。しかし、こうした傾向は、ここ10年から20年の間に日本の職場に起きた「重大な変化」だと著者は指摘している。

その背景にあるのは、グローバル競争の進展。中国や東南アジアなどの安い労働力との競争を迫られるなか、業績の伸びが期待できない分野(労働力)は整理されることとなり、より利益の上がる分野への集中が起こるというわけだ。さらに少子化による人手不足の深刻化もあいまって、日本の職場が急速に「余裕」を失っていったということである。

は、そのように変質した社会のなかで、今後のビジネスパーソンはなにを意識すべきなのだろうか。この問いに答えるにあたり、著者は社会の構造の変化を強調している。


 かつての日本企業では、「休むことなく、コツコツ働く」ことが美徳だとされてきました。これは端的にいえば工業型社会の労働モデルだといえます。毎日、工場に出てきて、多少調子が悪くても、ベルトコンベアを止めずに作業できれば問題ないといったイメージです。
 それに対して、現在はサービス業型社会、すなわち消費者に対して高い付加価値を提供することで利益を生むという産業モデルなのです。そこで働き手に求められるのは、知的生産を含む高い労働密度になっています。そうした社会では、「休みなくコツコツ働く」よりも、「十分な休息をとって、高いパフォーマンスで価値を生み出す」ほうがニーズにかなっているのです。
「休むのも仕事のうち」。これこそが現代の日本の職場にふさわしいスローガンだと思います。(110〜111ページより)

だとすれば、気になるのは「休み方」だが、疲労回復において鍵を握るのは「質の高い睡眠」。しかも、より重要なのは睡眠時間ではなく、「眠りの深さ」なのだそうだ。

睡眠の深さは「1度から4度」までの4段階に分けられ、「1、2度」が「浅い眠り」で、「3、4度」が「深い眠り」。よって、短時間の眠りで生活ができる人は、眠りが深く睡眠効率がよいというのだ。6時間未満の睡眠でも十分な人は、「短時間睡眠者」と呼ばれる。

一方、9時間以上の睡眠が必要な人が「長時間睡眠者」。たとえば適正な睡眠期間が約9時間だという人は、7時間程度の睡眠では仕事も調子に乗らず、ボーッとしてしまうこともあるとか。このように最適とされる睡眠時間は人によってそれぞれ違うので、あまり時間にこだわらないほうがいいというのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、26年経済成長率目標「4.5─5%」に引き下

ワールド

政府、中東6カ国で渡航中止勧告 日本人出国へチャー

ワールド

中国、26年国防予算7%増 伸び5年連続7%台

ビジネス

アジア・太平洋市場で空運株が反発、中東発の便増加で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 6
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 9
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中