洋上風力発電業界に大逆風...トランプ政策を受けて、計画変更相次ぐ
トランプ大統領は地球温暖化をでっちあげだと称し、すでに過去最高の水準にある米国の石油・天然ガス生産を最大化することに政策を集中させると約束した。また、バイデン前大統領が気候変動対策に振り向けた公共支出を削減すると宣言している。
船舶、港湾、ケーブル
オーシャンティックでは、造船産業では洋上風力発電向け船舶の受注が急減しており、造船産業にとどまらず、国内鉄鋼メーカーにも影響が及ぶ可能性があるとしている。
オーシャンティックによれば、造船産業は過去10年のあいだに総額で約20億ドル相当の受注を獲得した。内容は、洋上風力発電タービンの建設やスタッフ・補給品の運搬に用いる数十隻の船舶だ。
このうち約15億ドルは建造中か着工待ちの状態にある。だが2024年の船舶の注文はわずか1隻にとどまった。洋上風力発電産業向けの船舶の建造や改修は、13州にわたる20カ所以上の造船所が担っている。
オーシャンティックのフランクール氏は、「中西部一帯の造船会社や鉄鋼メーカーは、受注増を当て込んで工場を拡張していたのに、期待していた取引を失ってしまった。小規模メーカーは空白の受注一覧表を前に途方に暮れている」と話す。
ニュージャージー州経済開発庁は今月、セーラム郡に建設予定だった洋上風力発電支援に特化した港湾について、代替用途の検討を急いでいると述べ、一因として連邦政府の方針変更に触れた。
このプロジェクトは用地面積にして220エーカー規模で、2020年に米国初の洋上風力発電支援に特化した港湾としてニュージャージー州が提案したものだ。長さ数百フィート、重量は満載時のボーイング747ジェット機を上回るという巨大な風力発電用タービンに対応できる施設を備えるはずだった。
「ニュージャージー州における洋上風力発電の長期的な可能性を今も信じているが、納税者の資産を預かる立場として、すべての選択肢を評価する必要がある」と同州経済開発庁は声明で述べた。