最新記事
製造業

災害・有事で「経済を止めない」ために...「1日で対応」実現するサプライチェーン強靭化戦略

2024年6月28日(金)12時21分
西田嘉孝

パナソニックEW社のサプライチェーン・マネジメント

従来は各拠点がバケツリレーのように情報伝達を行っていた有事対応を、2023年4月に一元化。そこから約12カ月というスピード感で今回の「EW-Resi.」に発展させた(パナソニックEW社発表資料より)

同社がこのたび導入したEW-Resi.は、富士通の汎用システムと統合し、2023年4月にパナソニックEW社全社で稼働させた「ES-Resi.(ESレジ)」を発展させたものだ。

パナソニック エレクトリックワークス社サプライチェーン統括センターの森下賢治所長

パナソニック エレクトリックワークス社サプライチェーン統括センターの森下賢治所長 Newsweek Japan

サプライチェーン統括センターの森下所長の説明によれば、最初のES-Resi.により、全社での情報共有、サプライチェーン上のアクシデントに影響を受ける部品の早期掌握、そして代替品の事前登録による対応アクションの早期化を実現した。

「Teamsチャットを使ったスピーディーな情報共有も可能になり、BCP(事業継続計画)状況の把握を平均10日から3日にまで短縮することができました。一方で、情報共有から先のアクションについては、従来通りに各所で属人的に行う必要があるなど課題もあった」(森下氏)

本格運用前に起こった能登半島地震で分かったこと

そこで新たに開発・導入したEW-Resi.では、富士通のビッグデータ解析プラットフォームや最新のAI技術を採用している。

生産、販売、在庫、部品調達など20の現行システムの業務統合に加え、20万品番を超える在庫部品の紐づけや可視化を行い、生産・販売・在庫を統合的に計画するPSI計画や、部品調達計画などのグローバルレベルでの全体最適化ができるようになった。

有事対応においては、地震などで被災したサプライヤーの被災情報や部品の手配状況、影響を受けそうな部品や代替部品の在庫状況などを、即座に抽出・リストアップできるよう機能を大幅にアップデートしている。災害発生時の対応アクションは、平均1日で完了できるようになった。

4月に全社導入されたEW-Resi.が早速その成果を発揮したのが、本格運用前に発生した能登半島地震時の対応だった。

「震度5以上を計測した被災地の情報を抽出し、当該地域のサプライヤーに関わる製品や部品の状況等を可視化すると同時に、供給に影響が出そうな部品や代替部品の供給が可能な他拠点を特定して対応を行いました。EW-Resi.では、そこまでのアクションを即日に完了することができ、結果として生産停止を回避することができたのです」(森下氏)

現在は国内外18拠点の連携を終え、実運用後の2024年度内には海外を含むすべての拠点を連携する予定だという。

「海外拠点では一部、モニタリング等のレベルを国内拠点と少し変えた運用を行います。SCM情報のグローバルでの共有をこのレベルで実現しているメーカーは、日本では他にないと思います」と、森下氏は胸を張る。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 6
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 9
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中