イエレン米財務長官の訪中、成果は不信の3年半経た会談自体 先行き不透明
全米外国貿易評議会(NFTC)のジェイク・コルビン会長は「米中両国は依然として重要な経済関係にあるという現実と、サプライチェーン(供給網)のリスク低減と多様化を目指す米政府と企業の取り組みのバランスを取りながら、イエレン氏は適切なトーンで発言したと思う」と評価した。
グロウ・インベストメント・グループ(香港)のチーフエコノミスト、ホン・ハオ氏は、現在進行中の米国の対中関税見直しにより、中国製品を巡る関税の一部が緩和される可能性があるとの認識を示した。
一方でコルビン氏は、2024年の選挙が迫る中、バイデン大統領が中国側の妥協がないまま一方的に関税措置を緩和することは「政治的に難しい」と述べた。
年内首脳会談観測も
イエレン氏は、訪中の目的は中国の新経済チームとの関係を確立し深めること、誤解のリスクを減らし、気候変動や債務問題などの分野での協力の道を開くことだったと説明。その上で「一定の前進があったと思う。両国と世界に利益をもたらす健全な経済関係を築くことができると考えている」とし、事務方での定期的なコミュニケーションが増えることを期待すると述べた。
中国人民大学国際関係学院の王義ガイ教授は、今回のイエレン氏訪中によってバイデン大統領と中国の習近平国家主席による年内会談の可能性が高まったと語った。11月にサンフランシスコで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場になりそうだという。
(David Lawder記者、取材協力:Andrea Shalal in Anchorage, Alaska, and Ryan Woo, Ellen Zhang and Qiaoyi Li in Beijing)