「臆病だからGoogleのリーダーになれた」30歳から知っておきたい、仕事の心得とは?
カウンセラーから宿題が出た。まずは、その日にやるべき作業を毎日書き出すこと。そして、どんなに小さなことでもいいから、やり終えるたびに自分を褒めてあげること。次に、思い浮かんだことをノートに書いて、頭の外に出してしまうこと。
その日から、どんなに小さなことももれなく「to doリスト」に書くようになった。やるべきことから目をそらしているという不安感が、リストを作るだけでだいぶ解消された気がした。
ミーティングのアポ取り、メール送付などの単純作業を処理していく。リストに書いたことを2つこなすと、新たなタスクが3つほど増えるのが常だったが、それでも進捗状況が見えるので漠然としたストレスは減った。
小さな仕事を片づけながら、不安とストレスの根本的な原因についてじっくり考えてみた。私が今、感じているカルチャーショックと仕事のストレスはシリコンバレーの特性によるものなのか、グーグルが私に合っていないのか、あるいは所属しているチームの問題なのか、などなど。
すると問題点がはっきりしてきて、チームを異動すべきだという考えに至った。幸いなことに、すぐ別のチームに移ることができたが、夢を売るグーグルのカルチャーに適応するにはいずれにせよ英語の勉強が必要だ。
そこで英語の本を毎日1時間ずつ朗読することにした。6カ月ほど経つと、英語の実力が向上するとともに、自信も回復していった。
いまや私もそれなりの熟練グーグラーになった。周囲から信頼を得て、影響力を及ぼすインフルエンサーとしてのポジションも確立しつつある。私と働きたいと言ってくれる仲間ができ、後輩から進路相談を頼まれることも増えた。2020 年末には600名を超える部署のデザインチームで"今年のデザイナー賞"に選ばれた。
この25年間、何度も浮き沈みを経験したが、グーグルでの試練の時期は、暗く、長くて、恐ろしかった。甲殻類が成長するためには、古い殻を脱ぎ捨てて、やわらかな素肌をさらして過ごす時間が欠かせないという。その過程がなければ、殻を大きくすることができない。
成長には必ず痛みが伴うものらしい。私も大きくなった殻のぶんだけ、さらに中身を充実させようと努力しているところだ。
『悩みの多い30歳へ。世界最高の人材たちと働きながら学んだ自分らしく成功する思考法』
キム・ウンジュ[著]
藤田麗子[翻訳]
CCCメディアハウス[刊]
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)