ハロッズなどロンドン高級店に激震 免税廃止で観光客が仏・伊に流出
中国人観光客が離れだした
グローバルブルーのデータでは、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)といった湾岸諸国からの旅行客による買い物支出は、2019年水準の65%にしか戻っていない。これに対し、フランスは19年比で198%、イタリアは166%、スペインは158%に増えている。
2019年に欧州を訪れた中国人旅行客1万人を対象にグローバルブルーが実施した調査でも、英国の魅力が衰えていることが示された。これは将来に向けてひときわ心配な兆候だ。
調査によると、19年時点で英国は欧州の大国の中でフランスに次いで最も人気の高い旅行先だった。しかし、現在は英国旅行を計画していると答えた割合が42%と19年の70%から減り、スペイン、イタリア、ドイツの割合が増えている。
メドウェイ氏は「中国人はこれまで常に最も価格に敏感だったため、一番注視していくべき重要な層になるだろう」と指摘。「だからこそ免税は、彼らにとって非常に重要だ。そして、わが国は欧州で免税を提供していない唯一の国になってしまった」と語った。
ハロッズのマイケル・ウォード総支配人は、何も行動を起こさなければロンドンのホテルやレストランにも影響が広がるとの懸念を示した。これらの店では既に外国人客の不在ぶりが目立っているという。
カドガンのヒュー・シーボーン最高経営責任者(CEO)は「海外旅行の促進に注力すべき時だというのに、われわれは近隣EU都市に対して明確かつ不要なハンデを背負っている」と訴えた。
中国から来たハン・ヘンさん(22)と友人らは7日、ショッピング街ニュー・ボンド・ストリートで買い物をしていた。ほとんど両親のお金で買い物をしているため、これまではVATについて考えたことがなかったヘンさんだが「フランスに行くために、もっとお金を残しておこうかな」と語った。
(James Davey記者、 Sarah Young記者)