最新記事
投資

芸人から「億り人」になった井村俊哉、今度はファンド運営へ

2023年1月6日(金)11時45分
ロイター

相次ぐ井村銘柄の急騰、一方で感じた「戸惑い」

井村銘柄の急騰ぶりに、本人は当初「率直に戸惑いを感じた」という。東証上場企業の全開示資料のタイトルをチェックし、変化を探し求めて資料を読み込み、時には取材もして選び抜いた銘柄だが、自身の投資行動自体が株価変動を引き起こしたことを自覚したためだ。

いろいろな思いはあったが、最近は気持ちが固まり、「市場の期待に応える責任感が芽生えた」。その文脈で、投資するだけでなく、企業の投資家向け広報の改善提案などにも取り組む。

「日本一株式投資に時間を費やしている」と自負

井村氏の生活は、すべてを投資に捧げていると言っても過言ではない毎日だ。睡眠時間こそ確保するものの、投資に費やすのは十数時間、「心持ちからすると24時間」。投資に打ち込む環境を作ってくれる家族と過ごす時間は「コミュニティーを維持するコスト」と割り切り、土日も調べものなどに没頭する。株式以外に趣味もなく、「時間や熱量だけは負けない。日本一時間を使っているという自負がある」と言い切る。

個人投資家として成功した井村氏だが、生活が派手になったわけではない。芸人時代は昼食にノーブランドの柿の種をつまみ、著書『年収3万円のお笑い芸人でも1億円つくれたお金の増やし方5.0』でコストパフォーマンスのよい「神商品」として挙げた納豆は、いまでもよく口にする。もっとも、最近は時間効率や健康により気を使うようになった。

井村氏の投資哲学を形作り、衝撃を受けた書物として、ベンジャミン・グレアムの『賢明なる投資家』、ウィリアム・J・オニールの『成長株発掘法』、ピーター・リンチの『株で勝つ』を挙げた。自身の銘柄選択はこの3冊でほとんど語れるという。2023年の注目業種では、引き続き石炭と地銀を挙げたほか、グロース(成長)株と一括りにされて昨年に売られながらも、成長力のある銘柄に関心を寄せている。

*インタビューは昨年12月26日に実施しました。

(インタビュアー:内田慎一、勝村麻利子 編集:久保信博)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、二国間貿易推進へ米国と対話する用意ある=商務

ビジネス

ノルウェー・エクイノール、再生エネ部門で20%人員

ワールド

ロシア・イラク首脳が電話会談 OPECプラスの協調

ワールド

トランプ次期米大統領、ウォーシュ氏の財務長官起用を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中