インドでコメ油の需要急増、食用油不足で乗り換えも
インド米輸出事業者協会のB・V・クリシュナラオ会長によれば、植物油不足を受けて、製油事業者は米ぬかに対し過去最高の買い取り価格を提示しているという。
米ぬか価格は1トン当たり3万ルピーから3万6000ルピーまで跳ね上がった。精米工程に送られる玄米の価格は1トン当たり約1万9000ルピーである。
だが、依然としてコメ油の供給を大きく制約しているのは、精米が行われているすべての地域で製油設備が不足しているという問題だ。人間が消費する食用油に加工する場合、米ぬかを籾殻から分離して48時間以内に処理する必要があるからだ。
米ぬかのうち食用油に加工されるのは今のところ55%に留まり、残りは低価格の飼料市場に回ってしまう。
それでも、複数の製油事業者が生産量の最大化に努めており、インドにおけるコメ油生産量は、2021年の約95万トンに対し、今年は過去最高の105万トンに達する見込みである。インドが競合製品の輸入を減らす一助になるはずだ。
需要の増大
インドにおける食用油の消費量は過去20年間で3倍に膨れあがった。背景には、人口増加と所得の上昇、国民の外食傾向の高まりがある。
インドの植物油消費量は年間約2300万トン、そのうち1300万トン近くを輸入している。国内生産のコメ油で、植物油消費全体の約5%を賄うことができる。
インドの食用油メーカー、アダニ・ウィルマー や日用品大手エマミ 、そして穀物商社カーギルのインド事業部などの企業は、都市部での需要増大に対応するため、独自のコメ油ブランドを立ち上げた。
インド最大の米輸出企業であるサトヤム・バラジーでエグゼクティブ・ディレクターを務めるヒマンシュ・アガルワル氏は、コメ油ブランドの人気は上昇しており、消費者の支持も高まっていると話す。
「この新しいセグメントは成長の一途にある」とアガルワル氏。従来はもっぱらパーム油、大豆油、ひまわり油、なたね油を提供していた企業も、コメ油製品を発売しているという。
リセラのゴヤルCEOは、食品大手ペプシコ や食品メーカーのハルディラムなどの法人顧客でも、揚げ物加工にコメ油の利用が増えていると語る。
とはいえ、国内生産だけでは増大する需要に応えきれない。
「バングラデシュからコメ油を輸入している企業が2-3社あるが、バングラデシュでも輸出に回せる余裕は限られている」とIARBOのメータ氏は話した。
(翻訳:エァクレーレン)
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