ウクライナ危機、ロシア事業を続々停止する日本企業まとめ
西側諸国が制裁措置を強化し、国際社会がウクライナ軍事侵攻への非難を強める中、日本企業もロシア事業を続々と停止している。写真は赤の広場。3月9日、モスクワで撮影(2022年 ロイター/Evgenia Novozhenina)
西側諸国が制裁措置を強化し、国際社会がウクライナ軍事侵攻への非難を強める中、日本企業もロシア事業を続々と停止している。
日ロ貿易は資源輸入の割合が大きく、日本側の貿易赤字が続いている。2021年の輸入額は1兆5431億円で、液化天然ガス(LNG)を含む鉱物性燃料が61.3%と過半を占め、銀や白金、半導体生産に用いるパラジウム等の原料別製品が22.6%、魚介類や甲殻類といった食料品が9.1%、木材等の原材料が5.1%を占める。
同期間の輸出額は合計8624億円。自動車関連が目立ち、自動車が41.5%、一般機械が20.2%、タイヤ用ゴム等の原料別製品が8.3%だった。
主な日本企業の対応は以下の通り。
●JT
新規投資とマーケティング活動をすべて一時停止する。事業環境が大幅に改善しない限り、生産も停止する可能性があるとしている。上期に予定していた電子たばこの新製品の発売は延期する。
●ファーストリテイリング
ユニクロ50店舗の一時営業停止を決定。今後1週間から10日かけて閉店する。オンライン販売も停止する。
●日立製作所
生活に不可欠な電力設備を除き、グループ全体で輸出と現地生産を順次取りやめる。グループのロシア向け売上高は全体の約0.5%(2022年3月期見通し)。その過半が建設機械事業。
ウクライナにある米グローバルロジック社のソフトウエアエンジニアリング事業は、従業員と家族が避難し一時サービスが滞ることがあったものの、遠隔地から業務に当たり徐々に通常の操業状態に戻りつつある。
●三菱電機
物流や金融などの混乱で、ロシア向け出荷を停止せざるを得ず、事業の継続が困難な状態。
●任天堂
家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」を含むすべての製品の出荷を停止。物流などが不安定なため。決済事業者がロシアルーブルの取引を停止しており、オンラインショップも現在利用することができない。
●ソニーグループ
ソニー・インタラクティブエンタテインメントが手掛ける家庭用ゲーム機「プレイステーション」のソフトとハードの出荷をすべて停止。オンラインストア「プレイステーションストア」の運営も停止。
●資生堂
ロシア向けの製品出荷をすべて停止。広告宣伝活動など新規投資も取りやめる。在庫分の販売は続ける。現地従業員の雇用と報酬は、必要な期間保証する。