最新記事

トラベル

温暖化対策で企業が出張削減 対応迫られる航空業界

2021年10月18日(月)11時36分

企業や法人向け旅行代理店は、機種や経路、座席クラスといった要因に基づいて航空機利用に伴う排出量を測定するためのツールに相当の投資を行っている。

「出張をバッサリ減らすといった乱暴なアプローチを採用する企業が多いとは思えない。それでは収益に響いてしまうから」と語るのは、アメリカンエクスプレス・グローバル・ビジネス・トラベルで持続可能性担当バイスプレジデントを務めるノラ・ロベル・マーチャント氏。「だが、出張する人自身が判断できるように、透明性を求める声が増えているのは確かだ」

グローバルな格付け機関であるS&Pは、2025年までに出張に伴う排出量の25%削減を計画している。同社でグローバル規模の出張業務を統括するアン・デリー氏は先月、CAPAセンター・フォー・アビエーションが主催したイベントで、S&Pの社員によるビジネスクラス利用のうち42%が社内会議目的だったと述べている。

航空会社も「グリーン」をめざす

米国の航空会社ジェットブルーは、今後2-3年以内に、ニューヨーク発着のフライトで用いるジェット燃料の約30%を、持続可能性のあるものに切り替えることを計画している。

「もちろん企業は、気候変動の問題に積極的に取り組んでいきたいと考えるだろう」とジェットブルーのロビン・ヘイズ最高経営責任者(CEO)はボストンにおける航空業界の会合の舞台裏で語った。「だが、出張をやめないでもそうした取組みを進める道はあるだろうと私たちは考えている」

先週の会合で航空各社が定めた二酸化炭素排出量の削減目標は、持続可能性の高い航空燃料の利用を現在の0.1%未満から65%にまで引き上げることや、新たなエンジン技術の採用に期待をかけるものだ。

「航空業界が2050年までに二酸化炭素排出量の『ネットゼロ』実現をめざすなら、今回の会合に参加したすべての航空会社がそれぞれの役割を果たさなければならない」と語るのは、ニュージーランド航空 のグレッグ・フォーランCEO。「航空会社だけではない。燃料サプライヤーも、各国政府も含まれる。最終的には、顧客も変化を受け入れなくてはならない」

(翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中