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中国経済中国、恒大集団のデフォルトよりもヤバい電力不足問題とは
中国各地で工場の一時停止を引き起こしている電力不足は、中国恒大集団の債務問題よりも経済にはるかに大きな脅威となる可能性があり、投資家の間では鉄鋼や建設など電力不足の影響を受けやすい業種を回避する動きが出ている。中国・玉門市の送電施設で2020年9月撮影(2021年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)
中国各地で工場の一時停止を引き起こしている電力不足は、中国恒大集団の債務問題よりも経済にはるかに大きな脅威となる可能性があり、投資家の間では鉄鋼や建設など電力不足の影響を受けやすい業種を回避する動きが出ている。
中国は、石炭の供給不足や排出規制の厳格化、製造業などからの強い需要を背景に電力不足に直面しており、使用量を制限する動きが拡大。電力不足に加え、エネルギー目標や二酸化炭素(CO2)排出削減目標の達成を求める政府の指示を受け、稼働を一時停止する工場が出ている。
こうした中、ゴールドマン・サックスと野村は今年の中国の成長率見通しを下方修正。株式市場では化学品や自動車、海運などが大きく下落する一方、再生可能エネルギー関連株は急上昇している。
投資家はこの問題の潜在的な規模について、今月に不動産株や債券を揺るがした恒大集団の流動性問題による影響をはるかに上回ると考えている。
ウォーター・ウィズダム・アセット・マネジメントのヘッジファンドマネジャー、Yuan Yuwei氏は「恒大問題はしばらく前から明らかになっており、リスクは的を絞った形で軽減されるだろう」と指摘。
一方、電力不足は需給均衡を崩し、消費や実体経済に直接打撃を及ぼすとし、「制御不能な影響になる公算がより大きい」との見方を示した。
過剰反応
恒大問題で打撃を受けた一部の不動産株には、市場の反応が行き過ぎだったとの見方から買いが戻り始めている。
香港上場の中国不動産株は28日に6.4%上昇。上海上場の不動産株も3%高となった。
中国人民銀行(中央銀行)は27日の声明で、恒大に言及しなかったものの、住宅に対する消費者の正当な権利と利益を守ると表明した。
電力消費部門の反発見られず
一方、少なくとも現時点では、電力不足の影響を受けている企業の株式を買い戻す動きはほとんど見られない。状況のさらなる悪化を警戒しているためだ。
銅やアルミなど非鉄金属メーカーで構成する株価指数は今月に入って15%下落。鉄鋼大手も急落しており、宝山鋼鉄と鞍鋼はいずれも9月中旬に付けた直近高値から20%超下げている。
問題は広範囲に及ぶ。8月中旬以降、製造業の中心地である広東省、浙江省、江蘇省を含む20の省で計画停電が実施され、企業の収益を圧迫している。
モルガン・スタンレーのアナリストは27日のリポートで、停電や電力供給制限で鉄鋼、アルミ、セメントの生産やインフラ建設に直ちに影響が出ると指摘。その影響は下流に波及し、海運や自動車など、より多くの分野に及ぶ可能性があるとした。
ヘッジファンド、Tongheng InvestmentのYang Tingwu副部長は、中国のエネルギー・CO2排出規制は「短期的に経済全体にとって悪材料」とし、工場数の少ない企業への投資を現在は選好していると語った。
(Samuel Shen、Alun John記者)
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