米GMと韓国LG、相次ぐEVバッテリー発火事故で「仮面夫婦」の声
調査会社のJDパワーのタイソン・ジョミニー副社長は「米EV大手・テスラですら、発火事故で影響を受けたことはない。EV移行の流れが鈍ることはないだろう」と話す。
代わりの相手が見つかるまでの「仮面夫婦」
ただ、事情に詳しい関係者によると、GMとLGは高額なリコール問題が宙に浮いたままで、関係が悪化している。両社の関係は「仮面夫婦」(韓国人アナリスト)と呼ばれる状態に陥っており、すぐに代わりの相手が見つからないので、離婚せずにいるだけの状態だ。
ボルトを製造するGMのミシガン工場は操業を停止し、従業員1000人が9月末まで自宅待機となっている。
GMのジェイコブソンCFOは10日、18億ドルのリコール費用について、LGとの間で「ハイレベルの協議」を行っており、LGが負担してくれることを期待していると述べた。
だが、GMとLGが負担するコストは、最終的にもっと膨らむ恐れがある。
GMは350億ドルを投じて、独自のパウチ型リチウムイオンバッテリー、アルティウムを搭載した次世代EVや自動運転車の立ち上げを進めている。アルティウムはオハイオ州とテネシー州にあるLGESとの合弁工場で生産し、「GMCハマーEV」などのモデルに採用する計画だ。
しかし、8月下旬のボルトでのリコール発生を受けて、GMのメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は、今後のバッテリー工場について新たなパートナーを模索する可能性に含みを残した。
GMのアルティウムバッテリーは、ボルトに搭載されているLG製とは設計やサイズ、化学的組成が異なる。また、GMの幹部によると、アルティウムバッテリーの製造と品質管理は、LGではなくGMが担うという。
LGとその関連会社は、GMと同様に大きな問題を抱えている。
LG製バッテリーに関連してリコールが発生したのは、ボルトだけではない。韓国の現代自動車は今年初め、中国で製造されたLG製バッテリーが原因となって発火事故が起きたことから、全世界で「コナEV」約7万6000台をリコールした。
テスラのイーロン・マスクCEOは最近のツイッターへの投稿で、GMとLGのパウチセル技術について「大型のパウチセルは熱暴走が発生する可能性が、危険なほど高い」と指摘した。
LGESは45億ドルを投じて米国に2カ所のバッテリー工場を建設する計画だが、生産するセルの種類は明らかになっていない。セルの生産体制変更により、投資計画に遅れが生じる可能性もある。
(Paul Lienert記者、Heekyong Yang記者)
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