最新記事

トラベル

ANA、仮想旅行をビジネス化 アバターになって3DCGの観光名所を訪問

2021年5月20日(木)18時23分
羽田空港内の手荷物を預けるANAのカウンター

ANAホールディングスは20日、アプリを使ってバーチャル(仮想)空間で旅行体験などができる新事業を2022年に始めると発表した。写真は、羽田空港内の手荷物を預けるANAのカウンター。2020年10月23日に撮影。(2021年 ロイター/Issei Kato)

ANAホールディングスは20日、アプリを使ってバーチャル(仮想)空間で旅行体験などができる新事業を2022年に始めると発表した。まずは日本語、英語、中国語に対応したアプリを同時にリリース。その後10カ国語以上に順次拡大し、多くの外国人の利用を狙う。25年度には仮想旅行で延べ入場者数約5900万人を見込み、同年度までの新事業の累計売上高は約3000億円を目指す。

コロナ禍で旅客需要の早期回復が見込みにくい中、ANAは非航空分野を強化している。同事業ではターゲット顧客の約8割を外国人と想定し、バーチャル空間で旅行の魅力を再認識してもらい、コロナ収束後の訪日需要の喚起にもつなげたい考えだ。

事業開始に向け、昨年8月に設立した子会社ANA NEO(東京・港)が準備を進めている。100人以上が開発を手掛ける仮想空間プラットフォーム「SKY WHALE(スカイホエール)」を運営する。

総合プロデューサーには、人気ゲーム「ファイナルファンタジーXV」の元ディレクターで、ゲーム制作会社JP GAMES(東京・千代田)最高経営責任者の田畑端氏が就任した。同社はANA NEOにも37.4%出資している。ヴァイオリニストで作曲家の葉加瀬太郎氏が音楽を監修する。

仮想空間内に世界の都市や観光名所などを3次元CGで再現。自分の分身「アバター」を操作し、その場にいるような体験を提供する。最大8人まで同時にログインでき、目的地に向かうフライトを楽しんだり、旅先で土産を買ったりイベントに参加したりできる。過去や未来、テレビや映画の世界にも飛び込める旅行体験も用意する。

仮想空間には、マイルも使って買い物ができるショッピングモール、アドバイスを受けられる医療サービスなども展開する予定。アプリのダウンロードは無料。3000億円の累計売上目標には、アプリ内の有料サービスによる課金収入、モールの出店料などを含む。

スカイホエールは外部にも開放するオープンプラットフォームで、ANA NEOは資本も含めた提携先を募って事業規模を拡大する。ANAは25年度までに非航空事業の年間売上高をコロナ前水準の倍増となる4000億円に引き上げる目標を掲げている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナショック後の旅行は「3つの点」で大きく変わる インバウンドの終わりと始まり
・ANA、今期5000億円規模の最終赤字に 国際線は羽田に集約、25機以上を削減
・バーチャルポルノの「親密さ」がポルノ体験を変える!


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

IT大手決算や雇用統計などに注目=今週の米株式市場

ワールド

バンクーバーで祭りの群衆に車突っ込む、複数の死傷者

ワールド

イラン、米国との核協議継続へ 外相「極めて慎重」

ワールド

プーチン氏、ウクライナと前提条件なしで交渉の用意 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 6
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 7
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 8
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中