テスラ、起こるべくして起きた「中国トラブル」
次第に弱気化
テスラのコメントは次第に「前非を悔いる」姿勢へと転じていく。当初の「妥協せず」から20日は「謝罪と自主的な調査」の表明に変わり、そして21日夜には「規制当局と協力して調査」していると説明した。
国営新華社通信は、テスラの謝罪は「不誠実」だと述べた上で、「問題のある上級幹部」の更迭を要求。共産党機関紙、人民日報系のタブロイド「環球時報」もタオ氏の発言を取り上げてテスラの「大失態」と呼び、中国に進出している外国企業にとって1つの教訓になると解説した。
中国国営中央テレビ(CCTV)の報道番組の元総合司会者で2014年にテスラに入ったタオ氏には連絡が取れず、テスラもさらなるコメント要請には応じていない。
調査会社シノ・オート・インサイツのアナリスト、テュー・リー氏は「中国ではテスラ車の品質とサービスに関する不平不満がソーシャルメディア上にずっと書き込まれている。そのほとんどを同社の地元チームは20日まで無視してきたようだ」と述べた。
中国で販売されるテスラ車は、同社の上海工場で生産されており人気が高い。世界一の大きさを持つ中国EV市場において、テスラの販売シェアは30%を占める。
マスク氏は沈黙
だがテスラへのプレッシャーは積み重なっていた。
先月には、中国人民解放軍が車載カメラなどから軍事機密が漏れる懸念を理由にテスラ車の利用を禁止した、と複数の関係者がロイターに語った。その翌日、マスク氏はオンラインイベントで「もしテスラが中国であれどこであれ、スパイ活動のために車両を使っていれば、工場は閉鎖されてしまう」と強調し、すぐにスパイ行為を否定した。
テスラは昨年、米国の広報チームをほとんど解体したようだが、中国では引き続き広報担当者を雇用している。
それでも外部との対話に関する限り、テスラが大きく依存しているのはマスク氏のツイッターだ。マスク氏のアカウントは5000万人超のフォロワーを抱えている。ただ22日までの時点で、今回の中国における問題でマスク氏は沈黙したまま。一方、短文投稿サイトの微博(ウェイボ)にはテスラ車オーナーから突然の加速やハンドルの不調といった品質面のクレームが殺到している。
環球時報の胡錫進編集長は22日、テスラを中国から追い出すつもりはないと強調。「われわれの究極のゴールは、外国企業に中国市場へ適応し、中国の法規制をしっかり守るとともに、中国の文化と消費者を尊重して中国経済にとってプラス要素になってもらうことにある。それが教訓であれ支援であれ、全ては同じ目標を示している」と述べた。
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