コロナ禍で旅客機を貨物機にリノベ ネット貨物増で「改造機」活躍
ただアナリストは、貨物市場は変動が大きいことで知られ、これまで長引く低迷に苦しんでおり、貨物輸送能力は不足状態が簡単に過剰に転じ得ると警鐘を鳴らしている。
世界の貨物は通常、全体の半分程度が旅客機の貨物室で運ばれているが、旅客需要が落ち込んだため、専用貨物機での輸送が増えている。
CDBアビエーションのパトリック・ハンニガン最高経営責任者(CEO)は「2020年は貨物機の稼働率が過去最高となっている。新型コロナ流行で、電子商取引の需要増加に向けた長期的な構造的シフトが加速するとみている」と述べた。
ボーイングは新型コロナ流行に絡む旅客市場の混乱により、貨物事業のイールド(距離当たりの単価)が9月までに40%上昇。今後20年間に納入される貨物機の60%余りを、ボーイング777のようなワイドボディの貨物専用機ではなく、転換機が占めるようになると予想している。ナローボディの貨物機はほぼすべてが旅客機からの転換だ。
航空機の整備や修理の企業の雇用維持にも
P2Fブームは、航空機の整備や修理などを手掛ける企業が旅客機の運用減少で失った仕事の一部を穴埋めするのにも役立っている。
STエンジニアリング・エアロスペースのジェリー・ラム社長によると、P2Fは通常、機体分に加えて数百万ドルのコストが掛かり、改造に3カ月から4カ月要する。同社は生産能力を増強しており、将来的には年間処理能力を今年の1桁台から25-30機に増強する計画。来年はエアバスA321を少なくとも18機転換する予定だという。STエンジニアリングはリース事業に貨物転換機を加えることも計画している。
IAIのボーイング767の転換能力は年18機で、アマゾンが利用する貨物機の大半はIAIが手掛けたものだ。IAIの航空グループの幹部、ヨセフ・メラムド氏は「市場の需要に応じるため多大な努力を払っている」と述べた。
米エアロノーティカル・エンジニアーズのロバート・コンベイ上席副社長も転換機への需要が大幅に増加していると述べた。旅客機の運航停止が増えて、転換される航空機の製造年がどんどん新しくなっているという。
航空機の整備を手掛けるカナダのKFエアロスペースのグラント・スティーブンス副社長によると、P2F需要の増加が整備需要の落ち込みを埋めるのに役立ち、雇用の大半が維持できているという。
(Jamie Freed記者、Ari Rabinovitch記者、Allison Lampert記者)

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