中国当局、アリババ・テンセントなどIT大手の独禁法違反に空前の締め付け
中国の当局が巨大IT企業による独占禁止法違反に対し、空前の締め付けに乗り出した。これはほんの序の口と言えそうだ。写真はテンセンとのロゴ。北京で8月撮影(2020年 ロイター/Thomas Peter)
中国の当局が巨大IT企業による独占禁止法違反に対し、空前の締め付けに乗り出した。これはほんの序の口と言えそうだ。
中国国家市場監督管理総局(SAMR)は14日、アリババ・グループ・ホールディングや騰訊控股(テンセント・ホールディングス)といったIT大手が後ろ盾になった複数の案件について、罰金を科すとともに調査開始を発表した。SAMRはかつてインターネット業界に対して「自由放任」の姿勢で臨んできたが、今後は方向転換し、さらに多くの案件を監視していく構えだ。
中でも「見せしめ」にしようと狙っている案件が、インターネット検索企業の捜狗(ソゴウ)を株主のテンセントが35億ドルで買収を強め、非公開化する計画だ。この問題を直接知る2人の関係者が明らかにした。
別の関係者によるとSAMRは、プライベートエクイティ企業MBKパートナーズによる中国オンライン自動車レンタル最大手CARに対する買収提案にも、目を光らせている。MBKは業界2位の企業を既に所有しており、独禁法違反の問題が生じるとの懸念からだという。
テンセントによる捜狗の買収については、SAMRは徹底検証することが見込まれているため、2021年の買収完了期限に間に合わなくなる可能性があるという。「この案件は今、大きな不透明感に直面しており、計画通り買収を完了できない確率は大きい」と関係者の1人は語った。
この関係者によると、検索エンジンは中国当局にとっては機微な分野であり、SAMRはテンセントが既に複数のセクターで主導的な地位を確立していることも踏まえて、対処していくことになりそうだ。この案件が世間から大きな注目を集めていることも、監視の標的にする一因という。
捜狗は今月、独禁法上の検証を受けるためこの案件を届け出た。中国のIT企業は最近まで自ら進んでこうした届け出を行うことはしておらず、珍しい動きだ。
政府文書によると、MBKもCAR買収計画について同様に届け出た。関係筋によると、MBKは傘下の自動車レンタル企業とCARを統合する計画だ。
テンセント、捜狗、MBKはコメントを控えた。SAMR、CARからはコメント要請への返信がない。