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日本企業モノ言う株主の米バリューアクト、1200億円規模の任天堂株保有「世界のデジタルメディアサービス最大手に成長期待」
米アクティビスト(物言う株主)のバリューアクト・キャピタル・マネジメントは投資家向けのレターで、11億ドル超に相当する任天堂株を保有していると明らかにした。写真は任天堂の人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」。(2020年 任天堂提供)
米アクティビスト(物言う株主)のバリューアクト・キャピタル・マネジメントは投資家向けのレターで、11億ドル超に相当する任天堂株を保有していると明らかにした。ロイターがレターを閲覧した。エンターテインメント企業としての今後の成長に期待感を示した。
同レターによると、バリューアクトは2019年4月に任天堂株を取得し始め、新型コロナウイルス感染拡大を背景に株式相場が急落した今年2月と3月に保有株を増やした。
レターでは、任天堂の将来は明るいと指摘し、ソフトウエア事業の潜在成長力を評価したほか、同社は総合的なエンターテインメント企業に生まれ変わる余地があるとした。
米国で店頭取引されている任天堂の米預託証券(ADR)は一時5.7%上昇した。同社からコメントは得られていない。
サンフランシスコを本拠地とするバリューアクトは、任天堂の経営陣と複数回にわたり面会したと明らかにし、同社の古川俊太郎・最高経営責任者(CEO)がバリューアクトなどに示したビジョンを信頼していると表明。バリューアクトは他の投資会社とは異なり、投資先の企業に公に変革や取締役の交代を求めることはせず、水面下で経営陣と話し合う手法を取る傾向にある。
バリューアクトはレターで、同社のパートナーには米アドビや米マイクロソフトの取締役経験者がいるため、任天堂に適切な助言を与えることが可能だとした。取締役の指名に関する要求は示さなかった。
バリューアクトは、パートナーのロブ・ヘイル氏を昨年、オリンパスの取締役会に送り込み、数週間前にはJSRの株式7%を取得した。任天堂は日本での投資案件としては3社目。
同社はレターで、任天堂は米ゲームソフト大手のエレクトロニック・アーツ(EA)やアクティビジョンほどの好業績を上げていないが、現在進めているデジタルシフトが奏功するはずだと指摘。また、「任天堂が将来、ネットフリックスやディズニー+(プラス)、テンセント・インタラクティブ・エンターテインメント、アップル・ミュージックなどと肩を並べ、世界のデジタルメディアサービス最大手の一角を占めると考えている」とした。
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