最新記事

自動車

ホンダといすゞ自動車、燃料電池の大型トラック共同研究へ

2020年1月15日(水)18時55分

ホンダといすゞ自動車は、水素を燃料とする燃料電池車(FCV)で大型トラックを共同研究すると発表した。写真はスイス・ジュネーブで2017年3月撮影(2020年 ロイター/Arnd Wiegmann)

ホンダといすゞ自動車は15日、水素を燃料とする燃料電池車(FCV)で大型トラックを共同研究すると発表した。ホンダの燃料電池(FC)技術、いすゞのトラック開発技術をともに生かし、両社で大型トラック向けのFCパワートレイン・システムや車両制御などの基礎技術基盤の構築を目指す。

ホンダの研究開発子会社、本田技術研究所(埼玉県和光市)といすゞが、このほど共同研究契約を結んだ。契約期間は2年。まずは試作車をつくり、現時点では商品化の計画は未定という。

FCVは水素と空気中の酸素を反応させることで電気を発生させ、走行時に水しか出さない。このため、ハイブリッド車や電気自動車(EV)と並ぶエコカーの1つとして注目され、ホンダも「究極の環境技術」として30年以上、研究開発に取り組んできた。

FCVを巡っては、トヨタ自動車が2014年に世界初の量産型となる「ミライ」を発売。ホンダも16年に「クラリティ・フューエルセル」を投入した。ともにセダンの乗用車だが、販売価格が700万円台と高額なほか、水素を充填するインフラが十分に整っておらず、普及が思うように進んでいない。

大型トラックといった商用車であれば、走行ルートが決められている場合が多く、効率的に水素スタンドを配置しやすい。また、水素タンクやスタックと呼ばれる基幹部品も乗用車よりも多く使うため、部品の量産効果が見込める。ホンダはクラリティでのFC関連技術や部品を活用して大型トラックへの適応を研究する。

ホンダは独自技術とは別に、米ゼネラル・モーターズと13年にFC・水素貯蔵システムの共同開発で合意し、17年にFCシステム生産の合弁会社を設立。当初は20年の量産を目指していたが、現在は「環境規制や市場動向などとのバランスを見ながら最適なタイミングを見極める」(ホンダ広報)としている。

トヨタは20年後半に次世代のミライを投入する予定だが、EVに力を入れる日産自動車は独ダイムラー、米フォード・モーターとともに共同開発していたFCVの商用化計画を18年に凍結している。

*内容を追加しました。

(白木真紀 取材協力:田実直美)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200121issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月21日号(1月15日発売)は「米イラン危機:戦争は起きるのか」特集。ソレイマニ司令官殺害で極限まで高まった米・イランの緊張。武力衝突に拡大する可能性はあるのか? 次の展開を読む。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英小売売上高、10月は前月比-0.7% 予算案発表

ビジネス

アングル:日本株は次の「起爆剤」8兆円の行方に関心

ビジネス

三菱UFJ銀、貸金庫担当の元行員が十数億円の顧客資

ワールド

中国、日本などをビザ免除対象に追加 11月30日か
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中