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東証、イラン情勢緊迫で大幅下落 危機には「当事者」より弱い日本株

2020年1月6日(月)15時40分

1月6日、新年初日の東京株式市場は、波乱の大発会となった。東京証券取引所で撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

新年初日の東京株式市場は、波乱の大発会となった。中東情勢の緊迫化による地政学リスクの高まりや円高を嫌気して、日経平均は一時500円を超す大幅下落。米国とイランの対立が報復合戦に発展すれば、リスクオフの動きが鮮明になると懸念されている。一方、米国株よりも高い下落率に、海外勢頼みの脆弱な需給構造が露見したとの指摘もある。

米国軍がイラクのバグダッドの空港で、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官らを乗せた車列を空爆。地政学リスクがにわかに高まった。米中通商協議の合意文書署名への期待感はあるものの、市場では「署名に関しては織り込み済み。中東情勢の緊迫化で、楽観ムードに水が差された」(みずほ証券のシニアテクニカルアナリスト、三浦豊氏)との声が聞かれる。

大発会のセレモニーであいさつした日本取引所グループ<8697.T>の清田瞭CEOは「米国とイランの報復合戦が激化した場合、リスクはさらに大きいものになるため注目が怠れない」と語った。マーケット関係者の間でも「さらに軍事衝突があれば大きく株価が変動するとみられ、投資家はリスク回避の姿勢を強める可能性もある」(野村証券のエクイティー・マーケット・ストラテジストの澤田麻希氏)との見方が多い。

日本経済に減速懸念、海外勢頼みの需給構造

足元では「当事者」である米国よりも、日本の方が株価の下落率が高くなっている。3日のダウ工業30種<.DJI>は0.81%、ナスダック<.IXIC>は0.79%の下落率にとどまった。一方、日経平均の6日の下落率は一時2%を超えている。

日米の格差を生じさせている1つの要因としてはファンダメンタルズの違いがあるとみられている。12月の米ISM製造業景気指数は悪化したが、「米経済指標でも最近は製造業関連で基調が反転しつつあるものも多く、ISM製造業景気指数が示しているほど米経済は弱くはない」(第一生命経済研究所・主任エコノミストの藤代宏一氏)という。

半面、日本については「直近の鉱工業生産など統計をみても、消費増税の影響が大きいと思わせる状況だ。これに、円高、原油高が加わるとなれば、買いを見送らざるを得なくなる」と、三菱UFJモルガンスタンレー証券・チーフ投資ストラテジストの藤戸則弘氏は指摘する。

さらに、藤戸氏は海外勢頼みの需給構造の脆さが、リスクオフ時の日本株の下落率を高めやすいと分析している。

「米国市場は投資家が多様化しているのに対し、日本市場は海外勢が主な買い手で、彼らが見送ると相場が軟化する脆弱な状態だ。海外勢は昨年末までに、日本株を腹いっぱいの状態まで買ったとみられ、上値を買う勢力は海外勢のほかに見当たらない点を考慮すれば状況は厳しい」(藤戸氏)という。

日経平均の日足チャートは、典型的な天井形成のサインとされる「アイランド・リバーサル」のパターンを鮮明にした。外部環境、需給、テクニカルのいずれも悪化が顕著となった現況から、市場では本格的な調整局面に入ったとみる関係者が多い。

[東京 6日 ロイター]


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