最新記事

ブレグジット

パリ高級不動産が急騰 イギリスEU離脱が追い風に

2019年12月11日(水)19時40分

安全な投資先

パリのプライム市場の価格は、1平方メートル当たり1万9000ユーロ。ロンドンの2万8000ユーロやニューヨークの2万7600ユーロと比べると、まだ手が出しやすい。それでもナイトフランクによると、パリの価格は15年第4・四半期の底値を21%上回っている。

また、英国以外にベルギーや北欧、中東などの買い手も、パリに関心を寄せつつある。ナイトフランクのアソシエートパートナーでロンドンを拠点にしているロビー・アリス氏は、以前なら海外投資家は他に目もくれずにロンドンを目指しただろうが、足元では突然立ち止まり、ブレグジットの問題やそれに伴ってパリの旗色が良くなっている点を考えていると解説。「彼らは他の安全な投資先も考える中で、パリこそが最も良い投資先とみなす。資産分散化の一環としてだ」と付け加えた。

対照的にロンドンの不動産価格は、今年に入って一時、約10年ぶりの急落に見舞われた。ブレグジットを巡る不透明感と、それがロンドンの国際金融センターとしての魅力を低下させている事態が響き、年間でも価格がマイナスとなるもようだ。

昨年には、BARNESインターナショナルが発表している世界で最も不動産需要の強い都市・トップ5からロンドンが脱落。香港、ニューヨーク、ロサンゼルス、トロント、パリの後塵を拝する結果になった。

BARNESインターナショナルのドサンバンサン氏は、米国の顧客の借り入れコストは4-7%なのに、フランスでは1%未満の固定金利で最長20年の借り入れができるとして、資金面でのパリの優位性も強調。パリの不動産市況が非常に活発な一方、ニューヨークやマイアミ、ロサンゼルスは停滞しているとの見方を示した。

ドレーク氏は、パリでさらなる物件購入を計画している。フランスの税金が伝統的に高い点を踏まえ、リスクがあるのはもとより承知の上だ。

[パリ ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191217issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月17日号(12月10日発売)は「進撃のYahoo!」特集。ニュース産業の破壊者か救世主か――。メディアから記事を集めて配信し、無料のニュース帝国をつくり上げた「巨人」Yahoo!の功罪を問う。[PLUS]米メディア業界で今起きていること。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アメリカン航空、今年の業績見通しを撤回 関税などで

ビジネス

日産の前期、最大の最終赤字7500億円で無配転落 

ビジネス

FRBの独立性強化に期待=共和党の下院作業部会トッ

ビジネス

現代自、関税対策チーム設置 メキシコ生産の一部を米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 2
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学を攻撃する」エール大の著名教授が国外脱出を決めた理由
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 7
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 8
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「iPhone利用者」の割合が高い国…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 6
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 7
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 10
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中