混迷の英「ブレグジット」総選挙、予測はAIで 世論調査頼みを見直し
「ハイリスク志向には好都合」
とはいえ、二者択一の国民投票に比べ、選挙結果についてはギャンブル市場があまり優れた指標にならない可能性もある。また、ギャンブル市場で動く資金は、通貨・債券市場における数十億ドルの取引額に比べればごくわずかだ。
外為取引の主要決済サービスであるCLS銀行によれば、投資家の不安感を示すように、ポンド対ドル/対ユーロの1日当たりの平均取引額は11月に450億ドル相当まで減少した。選挙を前に市場参加者が模様眺めに徹しているからだ。ちなみに、2016年6月のブレグジット国民投票前には870億ドルだった。
世論調査では一貫して保守党の十分な優位が示されており、今のところポンド高の材料と見なされているにもかかわらず、相場は1ポンド1.30ドルに留まっており、選挙結果予想に対する市場の疑念を示している。
アビバのフィッツジェラルド氏など、独自の世論調査を武器にする投資家もいれば、ノイデータなどのデータ分析会社を使って、公開の調査結果を最大限に活用しようと試みる投資家もいる。
ノイデータの創業者ラド・リーパス氏によれば、同社はヘッジファンド向けに過去の実績に基づく評価・ランク付けを経たメタデータ群を提供しており、過去の選挙において、どの世論調査会社が最も正確だったかというデータ群を提供することもできるという。
どの戦略が有効か、そもそも有効な戦略があるのかはまだ不明だが、ユーライゾンSLJのジェン氏は、世論調査に対する信頼の低下は、投資家にとっては有利に働くかもしれない、との見方だ。「世論調査が信頼できないとなれば、それはハイリスク志向の投資家には悪い話ではない」と彼は言う。
(翻訳:エァクレーレン)
[ロンドン ロイター]
12月17日号(12月10日発売)は「進撃のYahoo!」特集。ニュース産業の破壊者か救世主か――。メディアから記事を集めて配信し、無料のニュース帝国をつくり上げた「巨人」Yahoo!の功罪を問う。[PLUS]米メディア業界で今起きていること。