最新記事

投資

混迷の英「ブレグジット」総選挙、予測はAIで 世論調査頼みを見直し

2019年12月9日(月)15時45分

「ハイリスク志向には好都合」

とはいえ、二者択一の国民投票に比べ、選挙結果についてはギャンブル市場があまり優れた指標にならない可能性もある。また、ギャンブル市場で動く資金は、通貨・債券市場における数十億ドルの取引額に比べればごくわずかだ。

外為取引の主要決済サービスであるCLS銀行によれば、投資家の不安感を示すように、ポンド対ドル/対ユーロの1日当たりの平均取引額は11月に450億ドル相当まで減少した。選挙を前に市場参加者が模様眺めに徹しているからだ。ちなみに、2016年6月のブレグジット国民投票前には870億ドルだった。

世論調査では一貫して保守党の十分な優位が示されており、今のところポンド高の材料と見なされているにもかかわらず、相場は1ポンド1.30ドルに留まっており、選挙結果予想に対する市場の疑念を示している。

アビバのフィッツジェラルド氏など、独自の世論調査を武器にする投資家もいれば、ノイデータなどのデータ分析会社を使って、公開の調査結果を最大限に活用しようと試みる投資家もいる。

ノイデータの創業者ラド・リーパス氏によれば、同社はヘッジファンド向けに過去の実績に基づく評価・ランク付けを経たメタデータ群を提供しており、過去の選挙において、どの世論調査会社が最も正確だったかというデータ群を提供することもできるという。

どの戦略が有効か、そもそも有効な戦略があるのかはまだ不明だが、ユーライゾンSLJのジェン氏は、世論調査に対する信頼の低下は、投資家にとっては有利に働くかもしれない、との見方だ。「世論調査が信頼できないとなれば、それはハイリスク志向の投資家には悪い話ではない」と彼は言う。

(翻訳:エァクレーレン)

Saikat Chatterjee Sujata Rao Tommy Wilkes

[ロンドン ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191217issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月17日号(12月10日発売)は「進撃のYahoo!」特集。ニュース産業の破壊者か救世主か――。メディアから記事を集めて配信し、無料のニュース帝国をつくり上げた「巨人」Yahoo!の功罪を問う。[PLUS]米メディア業界で今起きていること。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ関税、経済の不確実性高める 誰もが損と仏中

ビジネス

トランプ関税に市場動揺、輸出関連株・通貨が下落 元

ビジネス

ANAの今期、旅客需要堅調で上方修正 整備費などコ

ビジネス

京セラが業績予想を大幅下方修正、半導体部品有機材料
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 5
    メーガン妃からキャサリン妃への「同情発言」が話題…
  • 6
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 7
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 8
    トランプ「関税戦争」を受け、大量の「金塊」がロン…
  • 9
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 10
    思いつきのアドリブに前言撤回...トランプ大統領、就…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中