最新記事

仮想通貨

G20財務相、FBリブラなどデジタル通貨の厳格規制で合意 深刻なリスク懸念

2019年10月19日(土)09時08分

20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁は、米ワシントンで開いた会議で、フェイスブックが導入を計画している暗号資産(仮想通貨)「リブラ」などを含むステーブルコイン(法定通貨を裏付けとしたデジタル通貨)に対する厳格な規制を導入することで合意した。写真は2011年11月撮影(2019年 ロイター/Dylan Martinez)

20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁は18日、米ワシントンで開いた会議で、フェイスブックが導入を計画している暗号資産(仮想通貨)「リブラ」などを含むステーブルコイン(法定通貨を裏付けとしたデジタル通貨)に対する厳格な規制を導入することで合意した。

ステーブルコインについては、主要7カ国(G7)の作業部会が、広範な規模で発行された場合に世界の金融システムと金融安定が脅かされる可能性があると警告していた。

G20財務相・中央銀行総裁は、ステーブルコインで恩恵がもたらされる可能性はあるとしながらも、公的政策と規制の面で「深刻な」リスクをはらむ恐れもあると指摘。声明で「こうしたプロジェクトが開始される前に、特に資金洗浄、違法資金、消費者と投資家の保護などに関連したリスクについて検証を行い、適切に対応する必要がある」とした。

日銀の黒田東彦総裁は、金融安定理事会(FSB)や金融活動作業部会(FATF)などの金融規制を担う機関の提案に基づき、ステーブルコインをどのように規制していくかG20として討議を開始すると表明。G20議長国として日本が設定した記者会見で、「ステーブルコインが持つ様々なリスクについて政策当局者から懸念が示された。こうした懸念が対応されるまで、ステーブルコインは発行されてはならない。こうしたことがG20で合意された」と述べた。

FSBとFATFは来年、G20に対しステーブルコインに関する報告を取りまとめるとみられている。

またG20は国際通貨基金(IMF)に対し、通貨主権の問題を含むステーブルコインの経済的な影響について調査するよう要請。黒田総裁は「新興国の間で、大規模な顧客ベースに裏打ちされたステーブルコインが国際的に広く利用されるようになった場合、何が起こるか懸念が出ている」と指摘。「こうした問題は新興国に限られたものではない。金融政策、および金融システムの安定に対し広範な影響が及ぶ可能性がある」と述べた。

[ワシントン 18日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191022issue_cover200.jpg
※10月22日号(10月16日発売)は、「AI vs. 癌」特集。ゲノム解析+人工知能が「人類の天敵」である癌を克服する日は近い。プレシジョン・メディシン(精密医療)の導入は今、どこまで進んでいるか。



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米オラクル、日本に80億ドル超投資へ AIインフラ

ワールド

EU首脳、対イラン制裁強化へ 無人機・ミサイル製造

ビジネス

世界の債務問題が著しく進展、IMFなどが共同声明

ワールド

ガザの食料危機悪化とUNRWA、イスラエルが支援妨
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像・動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 5

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 6

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 9

    対イラン報復、イスラエルに3つの選択肢──核施設攻撃…

  • 10

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...当局が撮影していた、犬の「尋常ではない」様子

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中