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それでも「現金」にこだわる人たち キャッシュレスに移行しない男女3人の心理

2019年1月21日(月)18時10分
三矢正浩(博報堂生活総合研究所・上席研究員) *東洋経済オンラインからの転載

●お金に対する生活者意識・行動の変化
 
「日常的に電子マネーを使っている」
2006年12.1% → 2018年47.6%(+35.5pt)
 
「日常的に携帯電話やスマートフォンで支払いをしている」
2006年 2.6% → 2018年 10.7%(+8.1pt)
 
「日常的に企業が発行するポイントサービスを使っている」
2016年57.2% → 2018年62.7%(+5.5pt)
 
「クレジットカードを使うことに抵抗はない」
1992年28.0% → 2018年58.7%(+30.7pt)
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電子マネーや企業のポイントサービスの利用は、年々日常的になっていることが数値からもわかります。1990年代には「カード破産」の問題が指摘されていたクレジットカードも、今では抵抗のない人が多数派です。

キャッシュレス化は、政府も積極的に進めようとしています。国内の「キャッシュレス決済比率」は現在20%程度ですが、政府としては2025年には40%まで高める方針です。さらに、2019年10月に予定されている消費増税に向けて、景気対策として「キャッシュレス決済なら増税分のポイントを還元する」という方法の議論も進行中。もはや「お金は基本キャッシュレス」というのが時代の趨勢(すうせい)であり、合理的な選択のようにも思えてきます。

とはいえ一方で、気になることもあります。依然として、現金中心で暮らす「現金派」の人たちは、いったいどのように感じているのだろう、ということ。

不便を感じていたりはしないのか? そしてこの先も、「現金派」を貫くのか? 実際のところを聞かせてもらうべく、機縁法(研究者の知人のつながりを介した被験者リクルーティング)で探した「現金派」だという3人の方(以下Aさん・Bさん・Cさん)に面談をし、お話を伺いました。

「現金派」がキャッシュレスに移行しない理由は?

Q. 自分の「現金派」ぶりを簡単に教えてください

Aさん(20代女性、神奈川県出身)

私はクレジットカードを持っていますけど、普段の買い物はなるべく現金です。財布には2万円くらい入れていて、減ってきたら都度ATMで引き出しています。月2〜3回くらいかな。通勤定期券として交通系ICカードの電子マネーも持っていますが、チャージを極力したくないので、電車に乗るとき以外はそれほど使わないようにしています。

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