日本企業はM&Aに消極的、8割が経営危機感
他社との提携・協業を考える企業が41%に達し、「M&Aを仕掛けて再編を主導」したい企業はわずか10%、
1月21日、1月のロイター企業調査によると、世界的に業界再編が進行する中、経営に危機感を感じている企業が8割に上った。都内で20日撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
1月のロイター企業調査によると、世界的に業界再編が進行する中、経営に危機感を感じている企業が8割に上った。ただ、今年中の大規模な業界再編を予想する企業が3割を占めるものの、積極的な合併・買収(M&A)で対応する考えの企業は1割にとどまった。
他社との協業や独自路線を貫く方針の企業が大半で、生き残りをかけた変化への対応力に関して、スピード感に欠けるとの指摘もある。
この調査はロイター短観と同じ期間・対象企業で実施。資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に1月5日─15日に行った。回答社数は260社程度。
調査によると、グローバルな業界再編のうねりの中で、経営に危機感を「かなり感じている」企業は30%に上った。「少しは感じている」の48%を合わせると、全体の78%が危機感を感じていることになる。
特に国際競争にさらされている製造業の危機感は強く、業種別では石油・窯業で6割、輸送用機器と金属・機械、繊維・紙パルプで4割以上の企業が「かなり感じている」と回答した。
「海外メーカーが、強いところをより強く大きくする意志とスピードに脅威を感じてる」(化学)、「競争相手が企業統合により規模が大きくなると、太刀打ちできなくなる」(機械)、「中途半端な企業規模では生き残れないほどのし烈な競争が待ち受けている」(金属)などと、現在の情勢は厳しいとの認識が相次いで示された。
自社が属する業界で、今年中に大規模な再編が予想されるとの回答は3割。「おそらくない」が5割、「わからない」は2割となった。
対応策として「M&Aを積極的に仕掛けて再編を主導」と回答した企業は10%にとどまった。特に国際競争にさらされている製造業では6%と少ない。
非製造業では14%が積極的と回答した。従来から中小企業の事業継承や、金融や小売などで統合効果を狙ったM&Aがひん繁にあり、相対的に製造業より抵抗感が少ないとみられる。