景気減速のなか中国投資家が群がる不良債権市場
華融は、買い取った不良債権の転売志向を強めている。転売は利幅こそ低いが、特に複雑な債権については回収より手っ取り早い方法だ。
華融は14年、保有する不良債権のうちの14.5%を売却。これは2年前の倍であり、セカンダリーマーケットの活況を裏づけている。
さらに、プライマリー市場も成長しており、中国政府は過去2年間に、浙江や広東などの地方で10社の資産管理会社を設立した。
不良債権ビジネスに目をつけたのが、シャドーバンキングでも暗躍する信託会社だ。関係筋によると、資産規模で中国第2位の信託会社であるゾンロン国際トラストは、不良債権を買い取って、資産担保証券(ABS)に組成すべく、ディストレス債権部門を立ち上げるという。
また、規制当局の出身者も参入している。例えば、浙江省のある銀行担当高官は、不良債権を買い取る小規模な資産管理会社を設立した。
さらに海外の投資銀行やプライベートエクイティも参入機会を探っている。ゴールドマン・サックス・グループや、オークツリー・キャピタル・マネジメントは、信達が5月に開いたイベントに参加している。
S&Pのリャオ・チャン氏は「市場自体が急成長しているため、外国人投資家の関与は今後、一段と拡大するだろう」と語った。
(Engen Tham記者 翻訳:吉川彩 編集:田中志保)