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デフォルトギリシャとの交渉決裂の詳細、欧州委が異例の公表
相手の不実を暴露しながら、再びテーブルに着かせようという思惑も
6月28日、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、債権団との交渉決裂前にギリシャに提示していた内容を公表した。アテネで5月撮影(2015年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
[ブリュッセル 28日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は28日、債権団との交渉決裂前にギリシャに提示していた内容を公表した。このような公表は異例で、欧州委側の苛立ちを示すものといえる。
ただEU当局者は、ギリシャとの交渉で「ドアは依然開かれている」とし、引き続き合意を目指す姿勢を示した。
欧州委は「透明性とギリシャ国民への情報の観点から、欧州委員会は最新の提案を公表する」とし、EUとともに債権団を構成する欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)とも合意の上での公表だとした。
26日遅くまでギリシャとの交渉は続いたとし、「ユーロ圏財務相会合ではギリシャとの包括的合意が必要と全ての関係者が理解しており、合意だけでなくギリシャの将来的な資金調達や債務の持続性にも対応が必要だと認識されていた」と指摘した。
しかし「ギリシャ当局によるこれを破棄する一方的な決定」により、財務相会合は合意の承認には至らなかったという。
声明とともに欧州委は、ギリシャが支援に向け合意すべき税制や歳出面での10ページにわたる「優先事項」を公表した。
26日GMT1800(日本時間27日午前3時)の提案では、年金に関する文言とギリシャのホテル業界付加価値税(VAT)に関する部分がロイターがその週に入手した文書とは異なっていた。提案では、国内ホテル業界のVATは23%ではなく13%に引き下げられている。
ユンケル欧州委員長は、29日昼食時に記者会見を開く意向。チプラス首相が態度を変えるかは不明だが、EU当局者は、引き続き合意を模索することが欧州委員会の役割と認識している。
トゥスクEU大統領は28日、ツイッターで、ギリシャはユーロ圏の一員であり続けなければならないとし、ギリシャの離脱回避に向け、域内各国首脳と連絡をとっていると述べた。
欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務担当)は、ツイッターで、まだ希望をすてていないとし、ギリシャはユーロ圏内に留まるべきで、欧州委員会の提案について交渉する人々にまだドアは開かれている、と指摘した。
IMFのラガルド専務理事は28日声明を発表し、問題に引き続き努力する用意があるとした。声明によると、欧州委員会とユーロ圏政府は、ギリシャ債務に対してさらに取り組む用意がある。