最新記事

キャリア

ゴールドマンの過労死対策、「勤務は午前0時まで」

遅まきながら社員のワークライフバランスの改善に取り組み始めたが、職場環境はまだまだ過酷

2015年6月18日(木)16時02分
ポリー・モセンズ

過労死予備軍 高給の銀行に内定を勝ちとろうと、学生たちは睡眠時間を削って働く Lucas Jackson-Reuters

 ウォール街のインターンといえば、目の下にクマを作って空のコーヒーカップが散乱したデスクにしがみついているイメージだ。激務に追われ、世間が寝静まった頃に退社し、夜明け前には出社する。それもオフィスで徹夜をしなかった日に限られる。

 アメリカの金融業界のインターンシップは過酷なことで悪名高い。インターンは大半が大学3年生で、高給の仕事に就こうと夏休みを犠牲にして働く。仕事ぶりが評価されれば、アナリスト見習いとしての採用も夢ではない。今度は週100時間の労働が待っているのだが。

 アメリカの銀行は近年、若手社員のワークライフバランスの改善に取り組んできた。勤務時間中のフェイスブックやツイッターを解禁し、休暇も奨励している。

 きっかけは2年ほど前、バンク・オブ・アメリカのロンドン支店でドイツ人のインターンが死亡したこと。インターンは当時、長時間労働を続けていたため、過労死ではないかと疑われた。死因はその後病気と判明したが、責任問題に敏感な金融業界には衝撃だった。

改善してもこの程度か

 名門ゴールドマン・サックスも例外ではない。今週、インターンの徹夜禁止を発表。午前0時までに退社し、朝は7時までは出社しないよう指導するという。「クオリティー・オブ・ライフ(生活の質)」を改善する対策チームも発足した。

 社員にきちんと休みをとらせるほうが長期的には生産性が高まることは調査で分かっている。だがこの程度の指導で大丈夫なのか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中