「グーグル市」の住み心地
理想の都市作りと統治を目指すグーグルが世界を救う
ペイジの夢 社員のための自転車が完備されたグーグルのような理想のコミュニティを作りたい LUCY NICHOLSON/REUTERS
グーグルが運営する民営都市があったら住みたいだろうか?
グーグルが都市を作って行政を行うというのは、実はそれほど突飛なアイデアではない。グーグルは以前から都市建設への関心を口にしており、CEOのラリー・ペイジは自ら社会制度の実験ができる自治エリアを作りたがっている。
こうしたアイデアは、世界を変える可能性を秘めている。制度の変更が経済を活性化することもあるし、有能で効率的な統治機関は、成長の果実を汚職で無駄にすることなく有効に使うだろう。
民営都市というアイデアは通常、陰鬱な未来という恐怖のイメージを呼び起こす。邪悪な巨大企業が大衆を容赦なく搾取する図だ。こうした企業支配に対抗する最後の砦が、政府だと考えられている。だが、想像上の巨大企業をグーグルに置き換えてみれば見方も変わる。恐怖より、効率的な統治の恩恵に期待する気持が強くなる。
グーグルのような会社は長期的にモノを考える。短期的な利益のために長年培ったブランドイメージを犠牲にはしない。実務的でもある。現状の枠内でモノを考えず、住民を引き付けるために最良の政策を採用するだろう。最後に、グーグルなら規模も十分に大きい。金目当ての輩に脅されて不正に手を染めることもないだろう。
こうした恩恵にも関わらず、懐疑的な人も多いだろう。欧米に暮らす人々は概してすぐれた自治体で良い暮らしをしている場合が多い。グーグルに都市の運営を任せることによる恩恵は限定的だ。
グーグルが作る民営都市は、発展途上国でこそ意味がある。貧しい国が貧しいのは、政府が国民の資産を略奪するからだ。こうした政府は、側近や家族に企業を独占させて、その他すべての者の犠牲の上に自らの富を築く。こうした環境で得をするのは一般にエリート層で、大衆は貧困に追いやられる。
こうした国にとって、グーグルは希望となりうる。世界で高い知名度を誇るグーグルは、途上国政府と交渉し、民営都市を運営するための自治区を手に入れることができるだろう。