最新記事

ニュービジネス

アマゾンが開始、ヤギのレンタル・サービス

機械や人間による草取りよりも低コストでエコなところが魅力

2015年4月7日(火)17時18分
ゴゴ・リッズ

サービス拡大 さまざまなビジネスを手掛けるアマゾンの新たな試み Fabrizio Bensch-Reuters

 労働力不足に悩んだ第1次大戦中のアメリカで、ウッドロー・ウィルソン大統領はホワイトハウスの芝を刈るのにヤギの力を借りた。20年代には米大リーグのフィラデルフィア・フィリーズが、本拠地の球場ベイカー・ボウルの天然芝を維持するために2頭の雌羊と1頭の雄羊を飼っている。

 そして先週、米アマゾン・ドットコムがヤギのレンタル・サービスを始めた。除草をさせるためだ。アマゾンは流し台の設置からヨガのレッスンまであらゆるサービスを提供する「アマゾン・ホーム・サービシズ」を新たに始めたが、その中で「ヤギの放牧」も試験的に展開する。

 ヤギは羊よりも草取りに向いている。農業情報サイトのモダン・ファーマーによれば、4650平方メートルの土地を草取りするのに羊なら83頭必要だが、ヤギなら38頭だ。ヤギも羊も4つの胃を持つ反すう動物だが、ヤギは草だけでなく、ほかの動物には害になるような植物や物質も消化できる。

「従業員証」を着用

 アマゾンは昨年からヤギと親しい間柄だ。アマゾンジャパンが岐阜県多治見市にある物流拠点で、30〜40頭のヤギを使って除草を始めたからだ。すべてのヤギは従業員証を着用し、物流センター敷地内の草を食む。

 ヤギとアマゾンは自然な組み合わせと言っていい。というのも、同社の本拠地であるワシントン州シアトルは、州の補助金を得てヤギを放牧し、公共の場の下草取りをしていることで有名だ。農業機械が入れない場所にも、ヤギなら入ることができる。人間が草取りをするより低コストだし、二酸化炭素排出量は少なくて済む。

 アマゾン・ホーム・サービシズがレンタルするヤギは、近くのバション島にあるレント・ア・ルミナント社のタミー・ダナキンが所有している。彼女はヤギを使った除草サービス業界の有名人で、風刺報道番組コルバート・リポートの「アメリカを駄目にする人々」コーナーにも出演。司会のスティーブン・コルバートは、ダナキンの活動が人間の庭師の仕事を奪っているとからかうと、「ヤギがこの国のすべての庭仕事をやってしまうまで、私は満足しない」と返した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏側近、大半の輸入品に20%程度の関税案 

ワールド

米、中国・香港高官に制裁 「国境越えた弾圧」に関与

ビジネス

英インフレ期待上昇を懸念、現時点では安定=グリーン

ビジネス

アングル:トランプ政権による貿易戦争、関係業界の打
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中