年金ハイリスク運用のコストをひた隠す州政府
地元紙プロビデンス・ジャーナルの報道によれば、これにより運用会社はざっと7000万ドルの手数料収入を得るようになった。これらの運用会社は州の選挙でライモンド陣営の主要なスポンサーでもあった。
財務官事務所の書類を見ると、ライモンドの就任以前、ロードアイランド州は「年金資産の運用手数料が全米で最低レベルだった」が、「ライモンドの下で運用コストが3倍近く増えた」と、地元ニュースサイトが伝えている。労組の委嘱による調査では、ここ数年で手数料がほぼ700%増えたと推定されている。
所得格差の拡大が大きな政治問題となっている今、公然とウォール街の利害を守る当局者はライモンドくらいなものだろう。しかし、ロードアイランド州に限らず、多くの自治体が年金の運用委託に関する情報開示を渋っている。全米の州と市の公的年金資産は合計3兆ドル。最近では、そのざっと4分の1が高額の手数料を取るファンドマネージャーの手に委ねられている。データを見ると、高額の手数料を払っても、市場平均を上回る運用益が得られないことも多く、当局はこうした投資の詳細を納税者に知らせることを避けてきた。ロードアイランド州のケースでは癒着の構造が分かりやすいが、同様の問題は多くの自治体にもあると考えられる。
ニューヨーク・タイムズによると、ライモンド就任後の数年間に「ロードアイランド州の年金制度はヘッジファンド、未公開株、ベンチャーキャピタルへの投資に傾斜し、その投資額はゼロからほぼ20億ドル、運用資産の4分の1以上を占めるに至った」という。