中国の水増し経済指標がついに是正されるかも
GDPなどのデータ捏造問題に政府がようやく重い腰を上げたが
真実 李克強首相自身、政府発表のGDP統計は「人為的」だと漏らしたことがある Bogdan Cristel-Reuters
アナリストであれ市場関係者であれ、中国の経済や金融制度について理解しようとする者は、統計の信憑性という問題に必ず直面する。しかし中国国家統計局の馬建堂(マー・チエンタン)局長が先週、今年こそこの問題の一部解消に取り組むと発表した。
昔から中国政府発表の統計といえば、肝心のGDPも含めて、いくら計算してもつじつまが合わないということが、専門家たちにとって悩みの種だった。しかもそういう指摘をしてきたのは、外国人エコノミストや非主流の中国人学者だけではない。
昨年の春に首相に就任した李克強(リー・コーチアン)は、かつて政府発表のGDP統計のことを「人為的」だから「参考」にとどめるべきだ、と語ったという逸話で有名だ。
その発言は内部告発サイト「ウィキリークス」を通じて暴露された。07年に当時の駐中米国大使との会話で漏らしたというのだが、その後伝えられたところによると、具体的には李はむしろ、経済統計の「副指標項目」に注目するという。四半期ごとや年間のGDP値を見る前に、鉄道貨物量や電力消費など基の統計に目を通すのだ。
そんな人物が首相になって1年近く過ぎた今、中国政府がいよいよ経済指標の信頼性回復に取り組むとしても、決して意外な展開ではない。
特に大きな問題の1つは、地方政府から報告されるGDPのすべてを合算すると、全国値として中央政府が発表する数値を大幅に上回ってしまうということだ。11年にはその差がトルコ経済の規模にまで達したというので話題になった。先週の国家統計局の発表によると、馬局長はまさにこの問題の是正に取り組もうとしている。
昇進目的のデータ改ざん
本当にこの問題が改善したら、国家統計局にとって大きな前進となるだろう。だがその前には大きな困難が立ちはだかる。つまるところ、最後は地方が収集するデータに頼らざるを得ないからだ。
たとえ中央政府機関の調査チームがデータの集計を一手に引き受けるとしても、その根拠となる数字については、結局は地方レベルで提出される結果に依存しなければならない。