スパイ疑惑の中国企業、米市場撤退の真意
ファーウェイはスパイ疑惑を再三否定してきた。下院情報特別委員会の報告書に関しては、「結論が先にありき」だと不満を述べ、同委員会の動きを保護貿易主義と批判。ヘイデンの発言も「根拠なき中傷」と切り捨てた。その一方で、同社はイメージ改善のためにロビイストを雇ったり、米議会スタッフを中国の工場に招いたりしてきた。
しかし、逆風はやまなかった。アメリカの同盟国であるオーストラリアとカナダは、安全保障上の懸念を理由に、国家の通信事業から同社を締め出すことを決定。この11月末には、韓国企業が同社との契約を決めたことを受けて、2人の米大物上院議員が国防長官、国務長官、国家情報長官に書簡を送り、米韓同盟の「運用上の有効性」を損ないかねないと懸念を伝えた。
ただし、ヨーロッパではかなり事情が違う。ファーウェイは欧州で既に強固な足場を築いている。アメリカの強力な同盟国であるイギリスでも大型拠点の開設が認められそうだ。同社幹部がチャイナ・デイリー紙に語ったところでは、現在の7500人余りのヨーロッパにおける従業員数を、5年でさらに5500人増やす計画だという。
ヨーロッパだけではない。同社はアフリカ市場でも大きなシェアを獲得しており、さらに成長を続けている。
アメリカ市場からの撤退は、同社の弱さではなく、強さの表れとみるべきなのかもしれない。巨大な市場から締め出されても、世界でビジネスを拡大させていく自信があるのだろう。
From thediplomat.com
[2013年12月17日号掲載]