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アメリカ経済

低賃金の幻想が経済をダメにする

2013年8月26日(月)16時03分
ダニエル・グロス

報酬が増えれば消費もアップ

 これは由々しい問題だ。低い賃金水準こそが、経済成長を阻む最大の要因だ。インフラや教育への投資もいいが、最良の景気刺激策となる「賃上げ」を、オバマ政権はまだ試していない。

 賃金や給与に関して、世の中の考え方を変えなければならない。企業には従業員の報酬カットでなく、アップを奨励すべきだ。これは倫理的な問題でもある。従業員が生活に困っているような会社でいいのだろうか。

 ただし倫理より、経済的な論点のほうが説得力はある。いくつもの複雑な問題を結び付け、整理して論じるのがオバマは得意。まず需要の低迷を指摘し、次にアメリカの消費者は所得の97%を消費に回すことに言及すればいい。報酬が上がれば必然的に消費も増える。その大半は国内産品とサービスに注がれる。貯金するにも、国内の金融機関を使うだろう。要するに、賃上げした分だけ企業も得をする。

 経営者も株主も過去数年間で、かなりの収益増を確保してきた。そろそろアメリカの労働者も同じようになっていい。私はそういう大統領の演説を聞きたい。

[2013年8月 6日号掲載]

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