飛べない787にまた難題
それが今年1月、立て続けに2件のバッテリー火災に襲われる。ETOPSの認定にも深刻な影響を与えかねないものだ。
最初は、ボストンのローガン国際空港で駐機中の日本航空(JAL)機の電気室から発火した。2件目はANA機の飛行中に起きた。機長はバッテリーの熱が上がっていることに気付くと、すぐさま近くの空港に緊急着陸した。空港まで要した時間は16分。国内線で地上を飛んでいたことは幸運だった。
「彼らはこのようなことが起きる可能性を無視したか、見過ごしたのだ」と、NTSBの元自己調査官のジョン・ゴグリアは言う。
ボーイングが考えている対策の1つは、電池の一部が高温になっても全体に広がらないよう隔壁を強化すること。だがこれでは、発火はあり得るが危険はないという説明をFAAに納得させなければならない。煙と火を伴う事故は飛行中の航空機にとって最大の脅威であり、厳重な対策を施されているため、めったに起こらないものだ。
ゴグリアが言うように、予備のバッテリーも必要になるだろう。「鎮火するための電源も必要だ」とも、彼は言う。
787型機の長距離便の運命はどうなるのか。バッテリーの調査に追われるFAAにも、それはまだ分からない。
普通に考えれば、330分の認定を求めるボーイングに対するFAAの態度が硬化するのは必至だろう。787型機を保有する航空会社にとっての問題は、いつまた飛ばせるのかだけではなく、どこまで飛ばせるのかなのだが。
[2013年3月 5日号掲載]