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欧州経済再びギリシャに迫るデフォルト危機
債務免除に応じるより破綻させたほうが得をするヘッジファンドとの協議が難航中
火種再燃 新たなデフォルト危機が3月に迫る(アテネでのデモ、昨年12月) Yiorgos Karahalis-Reuters
昨年、世界を震え上がらせたギリシャ危機が再燃しそうだ。悪くすると今度こそ、債務不履行(デフォルト)に陥りかねない。
ギリシャ国債を保有するEUなどが債権の一部放棄を含む大型支援策に合意したのは昨年11月。首相も交代し、ギリシャのデフォルトから第2の世界金融危機が始まるという悪夢のシナリオはなんとか回避された。
だがここへきて、イタリアで国債の利回りが急上昇。先週には米格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)がフランス国債の格付けを最上位のトリプルAから一段階引き下げ、他の欧州8カ国も一斉に格下げされると、ギリシャ情勢が再び欧州債務危機の焦点に浮上してきた。
ギリシャがEUとIMF(国際通貨基金)の支援を受け続けるには、ギリシャ国債を保有する民間債権者から債務の減免を受けることが条件の1つとなっている。現在、民間の銀行やヘッジファンド(利害が一致するとは限らない)とギリシャ当局の間で、債務減免の際の金利水準をめぐる協議が続いているが、交渉は暗礁に乗り上げている。
EU、IMF、ECB(欧州中央銀行)で構成し「トロイカ」とも呼ばれる3者合同調査団も、集中協議のため今週アテネに飛ぶが、先行きは不透明。交渉が決裂すれば、3月20日に期限を迎える多額の国債を償還できず、デフォルトに陥る可能性が強まる。
英ガーディアン紙のラリー・エリオットは協議の内実を見事に形容している。「これはサルトルの(有名な戯曲)『出口なし』の国際金融バージョンだ。互いに相手を嫌っている3者(ギリシャ当局と民間債権者、トロイカ)が一部屋に長時間閉じ込められるという地獄だ」
最大の難関は、一部の債権者が50%の債務免除(ヘアカット)を受け入れない可能性がありそうなこと。彼らはギリシャがデフォルトした場合にクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で保険金を受け取る契約を結んでいるため、いっそギリシャをデフォルトさせてユーロを離脱したほうが得をする。
ドイツ政府はギリシャにもう一度チャンスを与えようと躍起になっている。ギリシャのエカシメリニ紙によれば、アンゲラ・メルケル独首相はギリシャに対し、緊縮財政による苦難はあるものの、国の未来は明るいというメッセージを発し続けている。「IMFが似たような(緊縮財政)プログラムを導入した事例は過去にも多くある。そうした国では一定の不況期を経た後に、力強い成長を遂げている」と。
さらに、メルケルはこう付け加えたという。「ギリシャも少しづつ進歩している」