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株式投資ツイッターで株価を予測するヘッジファンド
ネット上に溢れる「つぶやき」を解析して株価動向を予測するアルゴリズムの驚くべき的中率
情報の宝庫 「つぶやき」には相場を動かす不安や強欲のサインがあふれている Mario Anzuoni-Reuters
ツイッターの活用法も、ついにここまできた。先ごろ、資産運用の戦略決定にツイッターを利用するヘッジファンドが登場したのだ。運用開始から1カ月とはいえ、スタンダード&プアーズ(S&P)500社株価指数や平均的なヘッジファンドを上回る実績を挙げている。
金融ニュースサイトのファイナンシャル・ニュースいわく、「電子商取引の精度を高めるためにソーシャルメディアをうまく活用した初の成功例」だ。
この注目のヘッジファンドは、ロンドンを拠点とするダーウェント・キャピタル。「ソーシャルメディアを基にしたヨーロッパ初のヘッジファンド」を自称し、7月には1.85%の運用成績をあげた。この時期、S&P500社株価指数は2.2%下落し、平均的なヘッジファンドの運用益は0.76%だった。
ファイナンシャル・ニュースは、同ファンドのツイッター活用術について次のように書いている。
同社はツイッターにあふれる数百万もの「つぶやき」がもたらす感情のデータを、市場の動向を予測するために利用している。その戦略の基になっているのは、英マンチェスター大学と米インディアナ大学が10月に発表した研究結果。ツイッター上の感情を示す数々の言葉は、ダウ工業株30種平均の日々の動向を占うのに利用できることを示したものだ。
ダーウェント・キャピタルは入手可能な「つぶやき」の10%をランダムに解析し、「警戒」「元気」「満足」などの言葉に注目して感情ごとに仕分ける。このデータが市場動向の予測に用いられる。マンチェスター大学とインディアナ大学の研究では、当初から株式相場の動きを約88%の確率で予測できたという。
「4次元」になった投資の世界
ダーウェントの創業者でファンドマネージャーも務めるポール・ホーティンは8月12日、米ケーブルテレビ局CNBCにこう語った。「(7月には)ツイッターによるアルゴリズムは非常に有用だった。感情が市場を動かす大きな要素となっていたので、その『信号』を手にする意義はとても大きかった」
ダーウェントは5月に発表したプレスリリースの中で、リアルタイムの「感情分析」が「金融市場の『不安と強欲』を洞察するうえで、重要な役割を果たす」ようになることを期待している、と記している。
「多くの投資家は昔から、金融市場は人々の不安と強欲に動かされていると認めてきたが、そうした感情を定量化する技術もデータもこれまで存在しなかった」と、ホーティンはCNBCに語った。「これは、いわば4次元の世界だ」