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自動車GM車リコールもトヨタのせい?
責任を押しつけられてもショックを受けている場合ではない。ナンバーワンの宿命だ
海千山千 米自動車業界の大物ラッツの発言は重い(3月2日、ジュネーブ国際自動車ショーで) Valentin Flauraud-Reuters
GM(ゼネラル・モーターズ)はすでにトヨタのせいにしている。
3月2日、GMは北米で小型車シボレー・コバルトなど約130万台を対象にリコール(回収・無償修理)を実施すると発表。同日スイスで開幕したジュネーブ国際自動車ショーで、ビッグスリーの経営トップを歴任したGMのボブ・ラッツ副会長が、リコールはトヨタのせいだと言ったのだ。
GMのボブ・ラッツ副会長は、ジュネーブ国際自動車ショーでBBCにこう語った。「そう、これはトヨタが一部株式を所有するある部品メーカーの責任だ」
このメーカーの製品が、「信頼性と耐久性の基準」を一部、満たしていなかったという。
「従って、リコールの費用を誰がどれだけ負担するかを話し合うことになる」と、ラッツは言う。「システムを丸ごと特定の企業から調達する場合は、時にこうしたリスクが伴うものだ」
トヨタとは違う有能さをアピール
以前指摘したように、GMは好かれる会社ではない。必ずしも好かれようとさえしていない。ただ以前と変わらぬGMとして尊敬されたがっている。戦争に勝ち、アメリカの中産階級を作った無敵の巨大メーカーとして。
今回のリコールへの対応でも、トヨタ自動車とは違う有能さを見せつけようという意思が明らかだ。実際、GMは世界一の自動車メーカーであるトヨタよりは心配が少なくてすむだろう。電動パワーステアリングの不具合が原因でリコール対象となった車種はすでに生産終了の過程にあり、すでに関連が指摘されている14件の事故以上に問題が大きく拡大することはないとみられる。
トヨタはラッツ発言に衝撃を受けているかもしれない。だがナンバーワンになった以上、こんな事態も覚悟しておくべきだ。GMにとっては、トヨタ系の部品メーカーに不具合の責任を押しつけられるなんてまさに天からの贈り物。これからも何かあったら、トヨタに責任をなすりつければいい!
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